転居や父親の転勤に伴い、吉祥寺に住まうことになり、相愛幼稚園への転入園を希望なさる方が2月に数組、保育の見学に見えました。
見学後、どの方も異口同音に
① 子どもたちが生き生きと本当に楽しそう!
② 先生方が皆さんやさしそう!!
とおっしゃいました。
②は、ともかくとして…
①は、この一年の保育のありようを評価していただいたようで、大変うれしく思いました。
一般に園児募集の行われる秋の幼稚園見学者の感想のNo.1は 「素敵な園舎ですね〜!」 しかし、年度末を迎えるこの時期、「園児」 や 「保育者」 というソフト面の評価が 「園舎」 というハード面の評価を越えたことが大変うれしいのです。
見学者を案内しながら、園庭に目をやると年長組の男の子たちが 「なわとびカード」 を片手に庭に出て、ほっぺをピンク色に染めながらなわとびに興じていました。 その様子を見ていて私は昨年末、友人に誘われて出かけたカリグラフィーの展覧会で出会った一編の詩を思い出していました。
山 -2012-
宮城 慎
「 生涯においてやるべきことは
人を追い越すことではなく
自分自身を越えること。
自分自身の記録を破り、
今日を昨日にしのぐものにするのです。」
年長児たちはまるでこの詩を知っていて、自分自身を越えるために懸命に励んでいるように見え、愛しくもいじらしい気持ちにさせられました。
また、砂場に目を移すと…
年少組の男の子が友だちと砂山作りをしていました。少し湿った砂場の砂を大きなシャベルで掘っては少しでも高い山を作ろうと仲間とともに励む姿が私たちのいるテラスの側からも見て取れました。
友だちと相談したり、だんだん高くなっていく山の周りをクルクルとまわって歩いては、満足気に目と目をあわせて笑ったり…。仲間と気持ちをあわせて遊ぶ楽しさを共有する子どもの微笑ましい光景でした。
毎年、年度末の幼稚園ではあちらこちらで、このような子どもたちの姿に出会います。
おだやかな中にも躍動感あふれる時間の流れる早春の幼稚園。
今年度の保育の歩みも守られ、ここが子どもの育つ場、子どもたちの育ち合う場であったことを感謝いたします。
〔 園長 佐川 曜子 〕