秋の夜のうさぎの家族の物語

 

年中・すみれ組に井の頭公園に住む木の妖精“キノピー”がやってきていいました。
 「10月12日の夕方6時、相愛幼稚園に遊びに来てもいいかな〜?」 と。
年少組の頃からキノピーと親しい子どもたちは、「もちろんだよ、来て!」と大喜び。
 でも、夕方6時は特別な時間。いつもなら子どもたちは幼稚園にいない時間です。それではと、この日だけは「夕方の幼稚園に来よう! そして、夜ご飯もキノピーと一緒に食べよう、パーティをするのもいいね、遅くなるから幼稚園に泊まることにしよう!」ということになりました。
 途中まではこの話に乗り気だった子どもの中には、 「えっ!? 泊まる?」 幼稚園に泊まると聞いた途端に不安になって泣き出す子もいました。
 けれども、 “キノピー” の物語に乗っかって一人ひとりが 「幼稚園に泊まる」 という日に向かって心の準備をしていくことになりました。

 

  また、すみれ組はこのお泊り会に際し、クラスを4つの生活グループに分けました。そして、グループ名は子どもたちが話し合って決めました。その中のひとつ、 「うさぎグループ」 は9名の子どもたちがそれぞれ、長男、次男、三男…、長女、次女、三女…、というようにうさぎの9人きょうだいになってお泊まり会を過ごすことになりました。ちなみに、うさぎの母さんはグループマザー (子どもたちは 「お母さん先生」 と呼んでいます) の岡野真弓教諭です。


 そうして、迎えた10月12日。夕食に自分たちで切った野菜の入ったカレーライスを食べ、食後は夜のパーティを楽しく終えると、 “うさぎの家族” は母さんうさぎを中心に床に就きました。
 すると、お泊り会当日まで 「泊まるのは嫌」 と言って泣いたAちゃんはスースーと可愛い寝息を立て始めたのですが、この時、意外にもシクシクと泣き始めたのは、お泊り会までの日々、上機嫌で過ごしてきたYちゃんでした。
 Yちゃんを別室に連れ出すのが賢明かと考えていた時、うさぎのきょうだいたちの声が聞こえてきました。
 「Yちゃん、うさぎの家族はみんな一緒だよ」
 「寝たら、すぐ、朝になるよ」
 「Yちゃんはひよこ(年少組)のときより泣かなくなったよ」
 きょうだいたちの励ましの声に支えられて、しばらくするとYちゃんも静かな寝息を立て始めました。こうして、うさぎの家族はみんなで夜を乗り越え、朝を迎えたのでした。 

 

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 「うさぎの家族」として過ごそう!と話し合って決めた子どもたちの遊び心。
 “みんな一緒だよ” という仲間意識。
 それに何より素晴らしいと感じたのは、去年のYちゃんの姿をよく知っていて、他の誰かと比較するのではなく、 「今年は去年のYちゃんよりいいよ!」 と認め、励ましてくれる友だちの存在。

 

“友だちはいいもんだ”
子どもの成長に仲間の存在が大きく働いていることを嬉しく思った秋の夜の出来事でした。

 

                                                                                       〔 園長 佐川 曜子 〕