6月23日(土)の 「親子礼拝」 で宮原由有教諭は 「私のお父さん、お母さん」 という題で自身のご両親について話をしました。
 この日に先立つ礼拝の準備会において、私たち保育者は自分の子どもの頃の父母との
関わりや思い出などについて一人ひとりが振り返る作業をしました。
 私も “根拠のない自信 !?” に満ちあふれた母との愉快なエピソードや高校三年生の時に突然召された厳しかった父との数々の思い出から40年以上も前の子どもの頃の自分に立ち返って、ほのぼのしたり、苦笑したり、また、未だに理解不能の出来事などと向き合う時をもちました。

 さて、6月は教育実習生や保育参加の保護者の方々が幼稚園で子どもと過ごしました。
 その中の一人の実習生が実習も終わりに近づいたある日、
  「私が実習中におもしろい、楽しいと感じたのは、子どもが甘えてくる時と私を必要としてくれた時でした。
  反対につまらない、嫌だなと感じたのは、わがままな子に接した時でした。この違いは私自身の幼少時の育ちからくるものであると実習の途中で気づきました。私が小さい頃、母は妹にかかりっきりで、私は甘えることが出来ずに育ちました。だから、幼稚園で私に甘えてくる子にはたくさん甘えさせてあげたいと思いました。それから、私は自分のわがままな性格が嫌なのです。だから、わがままな子を見ると自分自身の姿と重なって、嫌になってしまうのだとも感じました。
  今回の実習を通して、対する子どもがどうであるかということよりも、私自身のこれまでの生き方や価値観が子どもと関わるときの基準となり、感情と重なってしまうことに気づきました。」 と感想を述べました。

 また、保育参加を終えたお母さんは、    「どの子も楽しそうで安心しました。子どもが思いつくことを先生方が上手に発展させていらして、感心しきりでした。楽しみながらもお友だちとのやりとりや集団生活でのちょっとした決まりごとなど、家とは違う緊張感もあり、得意気な子どもたちの顔も印象的でした。
  楽しむときはみんなで笑い、ダメなことはダメ、お祈りのときは静かにとメリハリのある生活を組み立てていただいて、ありがたく感じました。うちはかなり遠くから通っているのですが、保育参加で子どもたちと一緒に遊び、やっぱりこの幼稚園にお願いしてよかったと思いました。  多くの人たちがトラウマという程でなくても、子ども時代の理不尽な思いやちょっとした悲しさみたいなものを抱えて大人になると思いますが、私は多分、娘を相愛幼稚園に通わせることで、自分の中の小さな子どもを癒しているような気がします。階段からそれぞれの遊びが繰り広げられるホールを眺めて、それぞれの小さな世界がいきいきと動いているのを眺めて、心からそう思いました。」 と話してくださいました。

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 私は入園説明会や入園式の折、「子どもの入園をきっかけに、保護者の皆さまにももういちど幼児期を生き直す機会が与えられていますよ」 と話しています。
 “過去と他人は変えられなくても、未来と自分は変えられる” といわれます。
 「生き直し」 とは、「今を新たに生きる」 ことで過去の意味が変わり、未来が変わることです。
 親や保育者は子どもと過ごす生活の中で、自分の人生を生き直す機会を与えられているのです。それは、子どもと共にその傍らで過ごす大人への最大の恵みであるといっても過言ではないでしょう。

〔 園長 佐川 曜子 〕 

武蔵野相愛幼稚園

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