遊んでいてちょっと疲れたときや使いたかったおもちゃを貸してもらえなかったとき、また、おもしろくてたまらないときや嬉しいとき、私と目が合うと両手を広げて抱きついてくる年少児のY君。私が応えてぎゅっとハグするとにこにこ笑顔でまた遊び出します。
絵本 「はぐ」 佐々木マキ作 こどものとも年少版 2011年11月号
は、子どもたちの好きな絵本の一冊です。 5月半ば、年少・ひよこ組の降園前にこの絵本を読みました。そして、この日、子どもたちは迎えにいらしたお母さんのところへ向かう前に私とぎゅっとハグをして 「また、明日ね。」 と別れました。なかには、ハグは嫌で、すり抜けていく子や 「タッチの方がいい」 と申し出た子もいましたが…。
過日、保護者の皆さんに配布しました 「園児とママの情報誌・あんふぁん」 5月号巻頭の “親子のハグが心を育てる” という特集記事をお読みになった方も多いかと思います。 ナデナデ、コチョコチョ、ギュッ。スキンシップによる体の感覚を伴った感情はとても大切です。たとえば、言葉で 「人にやさしくしなさい」 と言うだけではやさしい心は育ちません。子どものやさしい心は、親にやさしくスキンシップされたときの体の感覚を伴った感情が土台になって育つものなのです。
さて、年少版の絵本ですが、年中・すみれ組でも 「はぐ」 を読んでみました。すると、みんな喜んで楽しみました。そして、年少と同じように帰る前に一人ひとりとハグしてみたら…。全員がぎゅーとハグして帰っていきました。
では、年長でも―と、ばら組で 「はぐ」 を読んでみましたら…。 「キャ〜!!」 「はずかしいよ〜」 という声があがり、クラス全体がザワザワ、モゾモゾという感じで絵本を見ていました。
この時はお弁当の前でしたから、名前を呼ばれた子から私とハグをして、お弁当の準備を始めることにしました。二人の女の子だけは 「握手がいい」 といいました。その他の子たちはみんなハグ。
あとで、この日、保育参加にいらしていたお母さんが教えてくれました。 「園長先生にハグされるたびに嬉しそうにしている子どもたちの顔がとても印象的でした。自分の子以外でああいった表情を見る機会はないので、貴重でした。」 と。
そうですか…。照れていたばら組の子どもたちも本当は嬉しかったのですね!
スキンシップをとると愛情や信頼の感情を呼び起こす “オキシトシン” というホルモンが分泌されるといいます。スキンシップの素晴らしい点は双方にその効果が表れることで、親が子どもの体に触れると、子どもの体の中だけでなく、親の体の中にもオキシトシンが作られるのです。 ポイントは 「ふれあい」 です。それも “心を向けて” のふれあいです。手をつないでの毎日の登降園も絶好のひとときですね。
〔 園 長 佐川 曜子 〕