あふれる愛 ―小さきものとともに―  

 

 長くて寒かった冬がようやく過ぎて、暖かな明るい春を迎えました。
 春、生命が芽生える喜びの季節に私たちも期待に満ちた新年度を歩み出そうとしています。

 

 子どもも大人も期待と不安が入り交じった心持ちの新学期です。新入園児にはゆっくりと
幼稚園の生活に慣れるよう、また、進級児にはこれまでに積み上げてきた園生活の楽しみが保障されるよう、期待には充分に応え、不安な気持ちには寄り添いつつ、それぞれに心を遣いながら、丁寧に愛にあふれた保育を創り出していきたいと願っています。

 

 先日、この三月に卒園したちゃんが弟の送迎について幼稚園にやってきました。勢いよく
門をくぐって庭に入ろうとした時、くるっと向きを変えて私のところに駆けてきて、「先生、卒園しても幼稚園に入っていいの?」 と聞きました。
 私が 「ええ、もちろん、入っていいのよ。」 と答えると、ちゃんは喜々として園庭に入っていきました。

 

 幼稚園の創始者であるフレーベルは 「幼稚園」 を kindergarten (キンダーガルテン) “子どもの庭園” と名付けました。この庭園は、そこへ種子が蒔かれ、蒔かれた種子がすくすくと成長をとげる場所であり、人の愛情と自然のふれあいにあふれた楽しいところです。そして、この庭は幼な子のいのちが輝く場所であり、さらには、人々が喜びにつけ、悲しみにつけ、繰り返し立ち返って憩い、安らぎ、生きていく勇気を取り戻す“心のふるさと”でもあるのです。

 

 その意味で、各個住宅の開かれた庭が個人主義の頑さを近隣の親睦へと変えるよう、幼稚園の庭はそれ以上に、誰にも開かれた庭でありたいと思うのです。そして、この場であいさつを交わし、仲間と出会い、子どもたちばかりでなく、大人である親も保育者も共に育ち合う関係をつくりあげていく庭でありたいと願っています。

 

                          「愛する者たち、互いに愛し合いましょう」
                                
 〔ヨハネの手紙T 4章7節〕

 

 相愛幼稚園の園名は、聖書のこの言葉から名付けられました。
 大勢の人たちが集う幼稚園。複数の人たちが気持ちを合わせるのは簡単ではありません。
しかし、お互いの違いをよいものにしてくださる主イエスによって私たちは結ばれ、生かされているのです。互いに愛し合うことができるようにされているのです。

   

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 強さも弱さも、善いところも悪いところも持つ小さき私たち一人ひとりをかけがえのない存在として、あるがままを受けとめて、包み込んでくださる神さま。
  そのあふれる愛に感謝して、新年度も心はずむ日々を重ねてまいりましょう。

                                                                                〔 園 長  佐川 曜子 〕