「愛されている」という実感

 

 三月の震災以降、「 子どもの理解とメンタルケア 」、「 放射能 」、「 震災後の対応と備え 」などの研修会が各所で行われ、話を聞いたり考えたりする機会を与えられています。

 

  「 備えあれば憂いなし 」 といわれますが、備えとしてもっとも大切なものは何でしょうか…。 

 

  文京区の小児科医、内海裕美先生は 「 災害発生時、避難所生活に耐えられる体と心をつくる 」 ことが何より大事であるとおっしゃっています。
 私自身、そして、子どもたちは避難所生活に耐え得る、たくましくて、しなやかな体と心を持っているだろうか? と自問していましたら、数日前、手元に届いた相愛幼稚園子育て講座「 ひまわりの会 」 の副読本であるコミュニティカレッジ小冊子の中に大切なメッセージを見つけました。
 それは、児童精神科医、佐々木正美先生のお宅での家族の会話の箇所でした。

 

 震災や事故など、いろいろなことがあった時に奥様がこんなことを言いました。
「 家族みんなが亡くなって私だけが一人生き残るなら、おそらく生きていけないだろう、生きる気力なんかない。 」
 すると、息子の一人は 「 僕はそんなことはない。もし、家族の4人が死んでも、僕だけが生き残れるとしたら、最大限努力して生き残る。」 と答えました。
 それを聞いた他の二人の息子たちも 「 僕だってそうだ。僕だってそうだ。」 と賛同しました。
 佐々木先生は3人の息子たちの応答を聞いて、「 それでいいんだ。」 と満足したと言います。


 「 たとえ、家族が死んで、孤児になったとしても僕は生きられると息子たちは言っている。それは、生きていこうとする気力があるからだ。人は生きる価値があるから自信をもって生きられるのだ。3人の息子たちがそれぞれ、親に愛されていることを充分に感じ、自分は親からそれだけ大事にされる価値のある人間であるという自信をしっかりもって成長したことに満足し、それでいいんだ。」 と言っておられるのです。

 

 防災備蓄物資として、水や食料、毛布、簡易トイレ…などは大切なものですが、ここでもう一度確認すべきは、「 愛されている 」 という実感を一人ひとりが心の中に備蓄しているかということです。しかも、それは災害時だけでなく、人生のすべてのシーンにおける備蓄チェックリストの第一に掲げられるべきであるといっても過言ではない、人の生きる力を支えるもっとも根源的で重要なものでありましよう。

 

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深まりゆく秋、神さまからいただいている恵みに感謝し、今月半ばには「感謝祭」の礼拝を守ります。今年は大地震や津波、台風など自然災害に心痛むことの多い一年でした。喜びも悲しみもある私たちの暮らしの中で、どのようなときも私たちを愛し、力づけ、励ましてくださる神さまに心から信頼して、感謝を捧げるときでありたいと願っています。

 〔 園長 佐川  曜子 〕