「今」を生きる

 

 相愛幼稚園では午前中、遊びのコーナーを設定しています。保育者たちはコーナー担当者としてクラス担任の枠を越え、そこに来たどの学年の子どもとも遊んだり、援助したりしながら過ごします。そして、その日、一緒にすごした子どもたちの様子については保育後の教師会で情報の交換をします。
 また、2〜3週間に一度は担当しているコーナーの移動を行いますので、その際は報告書を提出し、それに基づいて、今、子どもたちが熱中している遊び、必要な教材や環境設定、特筆すべき子どもの成長、今後の課題などについて話し合います。
 一人ひとりの子どもの育ちについて、それぞれの保育者が多角的な視点で捉え、協議するこの時間はティームで保育をしている私たちにとって子どもの育ちを共有しあう楽しみな時間でもあり、また、良質な保育をめざすためには欠くことのできない大切な時間です。

 

 さて、8月は在園児に関する保育の報告会は夏休みでしたが、日直の日、幼稚園への行き帰りに出会ったお母さんとの立ち話や夏の便りをいただいた方からの子どもたちの近況報告に笑ったり、喜んだり、励まされたりしました。

 

 「小学2年生になった息子のTは、学校では先生のお話もちゃんと聞き、落ちついているようです。もっとも恥ずかしがりやなので、手を挙げて発言するということはないようなのですが…。
 創作熱は相変わらずで、長い牛乳パックの電車はさすがにつくりませんが、最近おもしろかったのは、学校から『文具はシンプルなものを』といわれているのですが、そろそろキャラクターものの筆箱をもつ子が増えてきて、Tも『オレも欲しい!』と言ってきました。私が『一年しか使ってないし、キャラクターものはダメ』と言ったら、自分で作りはじめました。好きな絵を描いて、それを筆箱に貼り付けたのです。しかし、それではあきたらず、空き箱に自分でデザインした絵を貼り付け、小型の鉛筆削りまではめ込み“オリジナル筆箱”をつくりました。ここまでするのなら買うべきかとぐらりときましたが、本人が満足しているのでまあいいことにしました。」
                                                     (小学2年生 T君のお母さんの報告より)

 

 何とたくましい姿でしょう!
「生きる力」に満ちているとはT君のような子どものことを指すのだと私は考えます。
 幼稚園の頃、来る日も来る日も牛乳パックを連結して電車をつくり続けたI君。それを同じことの繰り返しという見方でなく、T君の内側に「毎日新しい発見がある」と信じて見守ったご両親と保育者たち。
 T君はその見守りの中で「今」を生き、自分の好きなこと、やりたいことを存分に行い、自ら考えたり、感じたり、工夫したり、努力したりする力を充分に育んできたのでしょう。

 

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 9月になりました。今学期も一人ひとりが「今」の生活に喜びをもち、存分に生きることを大切に保育の日々を重ねていきたいと願っています。

〔 園長 佐川 曜子 〕