みんな 大きくなった

 

 「いっせーの せ!」

 午前中の遊びの最後になると、こままわしのコーナーから聞こえて来る威勢のいい声。

 年長・ばら組の男の子10人位と私が円陣を作り、この掛け声と共にこまを投げて、「本日のチャンピオン」を決定するのです。
 たいてい、私の勝利です。(私も真剣ですから!)でも、10回に1回か2回、負けることもあり、子どもの中からチャンピオンが出ることもあります。大人には簡単に勝てないことを知っている子どもたちですから、その日の勝者の喜びようといったら尋常ではありません。その一方で、この時は、大人だって投げ損じたり、負けることもあるのだと知る時でもあり、想定外の展開(私が負ける)に直面した時の私(大人)の態度を見る時でもあり、保育の中では大切な場面となっています。

 

 子どもたちはとにかく一位を目指して、日々、腕を磨いています。
 そんな中で、“こま名人”と呼ばれるまでにあと一歩というところに位置しているA君のつぶやきが私の耳に入りました。

 「何位とかはともかく
     まわったのが嬉しいよ」
        (A君の言葉通り)


 決して負け惜しみではなく、こまが回ったことへの素直な喜びの言葉に私は嬉しくなりました。
 A君のように、経験や活動に自己課題を設定し、自分自身で目標をもって、積極的に挑んでいく道筋こそが大切なのであり、これこそが、望ましい育ちの姿なのです。

 

 また、年長のB君は年中・すみれ組の女の子に「こうやって回すんだよ。見ててごらん」と言ってこまを投げたのですが、失敗してしまいました。私は思わず「あっ、どうしよう」と自分のことのように動揺しました。ところが、B君は「あー、失敗しちゃった。ちゃんとしたところを見せられなくて、ごめん。」と頭を掻きながら、そう言ったのです。
 その仕草と言葉に何て爽やかなんだろうと感心しました。
 気負わずに自分を表現し、その結果にひどく落胆することなく、言い訳をすることもなく、自分自身で引き受けたB君の姿はとても頼もしく見えました。

 

 三学期の子どもたちの姿にはこの一年の育ちが表れていて、どの子も本当に大きくなったと実感する毎日です。それは、子どもたちの大切な一年を共に歩んできた者として、一人ひとりの成長を喜び、感謝する、嬉しくて幸せな毎日です。

〔 園長 佐川 曜子 〕