信じて 待つ

 

 クリスマスを前に子どもたちは“サンタクロースにお願いしたプレゼント”のことを嬉しげに話してくれる季節になりました。
 大人である保護者の方々は何か楽しみを待っている“もの”や“こと”はありますか?

 

 この秋、子どもとの生活の中で楽しみに待っている一人ひとりの姿に出会い、その成長を感じる場面がいくつもありました。

 

 年少・ひよこ組のAちゃんは、年長・ばら組の子どもたちが作った動物園の絵画ボードの前に立って、「先生、私もばら組になったら動物園へ遠足に行けるんでしょ? お母さんがそう言ってたけど……」と私に尋ねてきました。「そうよ」と答えると、「わたし、楽しみにしているの」と笑顔で言いました。

 

 年中・すみれ組のBちゃんは10月のお泊まり会を前に「先生、すみれ組は今度幼稚園にお泊まりするんだけど、その日の晩ごはんは園長先生が作ってくれる?」と私のところへ走ってやって来ました。「OK! 何が食べたい?」と聞くと「カレーライス、お願いね!」と勢いよく答え、走ってクラスに戻って行きました。

 年長・ばら組のC君に「C君のお家の赤ちゃんいつ生まれるんだったかしら?」と私が尋ねると、「一月だよ。僕は弟が欲しいんだ。弟か妹かもうわかるんだけどね、お母さんは男か女かお楽しみの方が頑張れるって言うんだ。赤ちゃんを産むのはお母さんだからね、僕もそれまでのお楽しみにしておく!」と答えました。

 

 AちゃんもBちゃんもC君も入園したての頃は、お母さんと離れがたくて泣いていた子どもたちです。ひよこ組のAちゃんは今でも時々「お母さんに会いたくなっちゃった」と泣くこともあります。けれども、ばら組になって動物園へ行くことを楽しみにしているのです。今のことに精一杯で泣いていたAちゃんが先のことを楽しみに待てるまでになってきたのです。

 Bちゃんは大好きなお母さんと一晩離れて過ごす「お泊まり会」であることをわかった上で、その日を楽しみに待てるまでに大きくなったのです。
 C君に至っては自分の楽しみもさることながら、お母さんを思いやる優しい心情が育っていることに感動すらおぼえます。

 

 子どもも大人も待つことが苦手になったといわれる昨今ですが、わたしたちの幼稚園では、アドベント(待降節)に入り、クリスマスを楽しみに待つときを過ごして
います。
 私にとってはこの時期、子どもの育ちを振り返り、「信じて 待つ」子育ての姿勢とその意味の重みを感じるときでもあります。

〔 園長 佐川 曜子 〕