人とのつながりの中で育つ

 

   「子どもの社会力」(岩波新書)
  「親と子の社会力」(朝日選書)
  「社会力が危ない!」(学習研究社)
などの著者であり、「社会力」という言葉の生みの親である、現・筑波学院大学学長 門脇厚司先生の話を聞く機会を得ました。

  「社会力」とは、簡単にいえば、人が人とつながって社会をつくる力のことです。様々な人たちといい関係をつくり、社会の様々な場で自分の能力を活かし、社会の持ち場持ち場で活用できる資質や能力のことをいいます。

  順応することや適応することに重きをおく、「社会性」に対して、「社会力」とは、社会の中で日々生きながら、今の状況をよりよいものとするにはどのようにしたらよいかを常に考えながら行動する前向きな態度のことであり、そのためのアイデアを考え出す能力であり、考えたアイデアを実際に行動に移し、実現することのできる能力のことをいいます。

  門脇氏は現在の子どもたち(大人も多分にその傾向があると私は思うのですが……)の、社会力は衰弱していて、それは他者への無関心、愛着、信頼感の欠如が原因だと言い切ります。

  私はこの話を聞きながら、相愛の子どもたちのことに思いをめぐらせていました。

  10月13日(金)、年長ばら組の子どもたちと羽村市にある動物公園に遠足に行きました。
JR羽村駅から動物園までの道の途中で出会ったカートに乗った保育園の1歳児たちを見て、「保育園の先生は本当に大変だね。あれを押すのって、結構重いんだよね。」と保育園の先生を気づかうA君。

  また、このところ何日も続けて年長組と年少組が一緒に電車ごっこをして楽しんでいたのですが、その中の一人、B君は「僕と園長先生が遠足に来ちゃったら、ひよこ組のC君とD君は今日何をして遊んでいるかな?」と幼稚園で過ごす年少組の子どもたちのことを気にかけています。

  そして、おやつを食べている時、大好物のペロペロキャンディを落として号泣するEちゃんを見て、「私のでよかったらどうぞ」と自分のキャンディを渡してあげた
Fちゃん。

  どれも、他者への無関心なんて言葉には程遠い子どもたちの姿です。

  遠足の日、自分自身も充分楽しみながら、そのことに留まらず、他者へ思いを寄せることができる余裕をもった子どもたち。

  勢い余って、小さい人に強引な態度に出たり、きつい語調で相手を傷つけたりする時、親や教師から注意されることもあるばら組の子どもたちですが、心の中心には他者を思いやる心情がしっかり育っているのです。これからも人と人とのつながりの中で社会力を豊かに育んで欲しいと願っています。

〔 園長 佐川  曜子 〕