見てみて

 

 桜の花がおわって若葉の季節になりました。この時期、子どもたちの好奇心に応えてくれるのは何といっても子どもが自分で見つけ出す虫たちです。


 「先生、先生」と言ってきた子はとにかく来いというのです。行って見るとテントウムシのお母さんが卵を産みつけているところでした。わたしもテントウムシの卵は見たことがなかったので興味しんしんでした。子どもがさわっても産んでいる最中なので産み続けていましたが、終わると飛んでいきました。あとに黄色の小さい卵が二十ほど残り、子どもたちはその卵を「どうしようか」、「削り落としてしまおうか」、「可哀想だからそのままにしておこうよ」と話し合った結果、そのままにすることになり、子どもたちの興味は続くことになりました。


 この都会の中で、どこに隠れていたのだろうかと不思議に思うほど大きなカタツムリを見せてくれる子もいます。「どこにいたの」と聞くと、「家で」とか、「幼稚園に来る途中、道で」とか、幼稚園の庭にも忽然と現れることがあります。カタツムリはなんど見ても、こんな大きなのがどこに隠れていたのだろうと不思議に思います。


 今の子どもたちにとって、一番親しみのある虫はだんご虫です。お母さんたちにとっては気持ちが悪いと思われる方が多いようですが、子どもたちはビンや虫ケースに土を入れ枯葉を敷いたり石を入れたり、だんご虫のいた場所を再現し、その中に何匹も入れて大事そうにしています。確かにあまりたくさんになると気持ちのいいものではありません。触ると丸まるのが人気の秘密で、虫への関心をつないでいてくれるようです。丸まらないのもいますが集めている子を見たことはありません。


 虫たちが子どもたちの自然への興味や関心を引き出してくれます。昨今、子どもたちは大人から与えられたものに囲まれています。虫もカブト虫もクワガタなど幼虫から育てるようになったセットを買うことができます。虫たちとの関係で大切なことは子どもたちが自分で発見したことです。子どもたちの心の中に生まれた好奇心や関心は、成長するにしたがっていろいろなものに注がれ、大きく豊かなものになっていくでしょう。

 IMG_0163.jpg
 たかが虫と言ってしまえない、そこには命あるものが生きていくに必要なすべてがあります。そして、なによりそこには、命があり死があります。それを子どもは自分の目で確かめます。
 その他にも、アリやチョウチョやミミズや「これなに?」と知らない虫もたくさんいます。

 この季節、幼い心と自然とのつながりを大切にして過ごしたいと思います。              

                      〔 理事長 長山 恒夫 〕