記録的な猛暑の夏でしたが、厳しい暑さの中にも一人ひとりが守られ、9月を迎えました。
 「長いと思っていた夏休みですが、あっという間に終わりに近づいています」とおたよりを下さった方。「退屈して毎日持て余し気味です」と話して下さったお母さん。
 二学期の始まりを楽しみに待ち、勇んで幼稚園にやって来る子、その一方、休み明け、久しぶりの登園に少々気後れしている子など、休み中や新学期に対する思いはさまざまですが、どのような一人ひとりも丸ごと受け止めながら、二学期も過ごしていきたいと思っています。

 さて、相愛だより(7月号)で紹介したトマトの苗はその後、順調に育っていたのですが……。
 7月に入ってからの低温続きに、一時期成長が停滞しました。このままでは、夏期保育の最終日までに、「子どもたちと一緒に育てたトマトを食べる」という目的が達成できるのか、危うい状態でした。
 子どもたちが水やりをし、トマト栽培担当の I 先生が手塩にかけて育て、見守ってきたトマトでしたから、あと、私たちにできるのは「信じて待つ」だけでした。

 すると、どうでしょう。7月23日、夏期保育の最終日には、見事、8個の熟したトマトを収穫できました。8個のトマトを80に切ってみんなで食べてみると、それは、昔のトマトの味がするちょっぴり皮の硬いものでしたが、幼稚園の庭で育てたトマトは格別の味でした。

 “トマトは発芽から何日で熟し、収穫できる”と決まっていれば、気楽に待てるのかもしれません。しかし、そんな決まりはありませんから私たちは少し心配しながら、待つのです。

 「待つ」力が弱くなり、できるだけ早く目に見える成果を望むことの多い世の中にあって、私たちは「待つ」ことによってしか育たない大切なものがあることを生活の中で感じながら、「待つ」生活を大切にしていきたいと考えています。

 「わたしは植え、アポロは水を注いだ。
  しかし、成長させてくださったのは神です」
    〔コリントの信徒への手紙Ⅰ 3章6節〕

 この聖句は、神さまが育ててくださる、だから私たちの働きはどうでもいいということではありません。  育つためには、手をかけ、心をかけて育ててくれる人が必要なのです。その上で神さまが育ててくださるのです。

 「信じて 待つ」ことは、子育ての、そして、キリスト教保育の原点であることを私はこの夏もさまざまな機会を通じて感じ、教えられました。
 夏の間に園児や保育者がそれぞれの場で経験・体験したことが、秋からの保育を豊かにしてくれます。
 今学期も人やものと関わる中で心を動かし、育ててくださる神さまを信頼して歩んで参りましょう。

                                                                       〔 園 長 佐川 曜子 〕

武蔵野相愛幼稚園

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