5月が過ぎ、一学期も半ばにさしかかろうとする今、幼稚園のここかしこで楽しい遊びが展開しています。

 

 しかし……

 「邪魔! あっちにいって!!」
 言葉で表現できる子は、そう言って怒鳴っていますし、言葉よりも手や足の方が先に出る子は相手を押したり、遊具を蹴散らしたりしながら自分の遊びを守ろうと必死になっています。
 それは、今まで同年齢の子どもと過ごす経験の少なかった新入生の姿です。
 
こんなとき、私たち保育者は「困ったものね」というだけの捉え方をするのではなく、その子の今までの生育環境を理解しつつ、仲間と遊ぶ楽しさを感じられるようになって欲しいと願いながら人と生活するときのルールを伝えたり、教えたりしています。
 
また、幼稚園には一年前、二年前に同じような道を辿ってきた先輩がいて、その先輩園児たちが無謀ともいえる言動に出る新入生を受け入れたり、諭したりしてくれます。

 年長・ばら組の保護者の中には先頃行われた保育参加を通して、そのような場面に出会い、異年齢児の微笑ましいやりとりをご覧になった方もいらっしゃるでしょう。
 今月は年中・年少組保護者の保育参加が予定されています。
 ”保育参加”
 それって何? どうすればよいの? と迷う方があるかもしれません。
 相愛幼稚園ではもうずいぶんと前から保護者の保育参加を実践してきました。”参観”ではなく”参加”です。
 保育参加は保護者の皆さまに実際に保育に参加してもらって一緒に遊んだり、活動したりして、幼稚園での生活を体験していただくものです。
 「見る(観る)だけの方がいいな」と思う方もあるでしょう。
 しかし、多くの子どもに触れ、発達の様子や段階を知り、子どもの世界を感じ、子ども理解を広げ、深めていただくために保育参加は存在します。
 また、保育者がどのように子どもにかかわっているのか、遊びや園生活の中で何が育つのかを知り、子どもが育つ上でそれがどのような意味をもっているのかを理解していただくことも大切に考えています。
 このように記すと難しいことのように思われますが、子どもが園生活に慣れていくように、保護者の皆さまも参加の経験を重ねるごとに慣れていきますから大丈夫です。気軽に参加してください。
 親としては、わが子が友だちとなかよく遊んでいるところや、普段の様子を見てみたいなどの期待もあろうかと思いますが、子どもにとってはお家の人が来てくれる、とても嬉しい「特別の日」でもあります。お母さんとばかり遊んで友だちと関わらなかったり、落ちつかなかったりなどいつもと違う行動をとる子も珍しくありません。また、ありのままの園生活に関わっていただきますので、良いことも悪いこともあることをご了承ください。(参観日を設定して、良いところを見せようとする公開ではありませんので……)
 どの子どもも成長の過程にいます。その日の様子だけで決めつけたり、心配な目で捉えてしまうことのないよう、保育参加終了後には、担任教師と子どものことについて話し合う時間を持つようにしています。

 

 ”子育て力”は”人間関係力”ともいわれています。
 楽しさや感動を共有できる保育参加の機会であることを願っています。


〔 園 長 佐川 曜子 〕

武蔵野相愛幼稚園

住所

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