心を動かす本気の姿
9月も暑い日が続きました。
5月に植えたサツマイモの苗もぐんぐん育って、蔓返し(蔓を引き上げて土から根をはがし反転する作業)の時を迎えていました。放っておくと地表についた蔓にも芋がついて、養分が分散するので、大きくて美味しい芋が出来なくなってしまうのです。初めは、9月18日を蔓返しの日としていましたが、危険な暑さのため、22日に延期することになりました。
酷暑の夏といわれた今年ですが、「暑さ寒さも彼岸まで」然り、振り替えた22日は、秋の気配を感じさせる日和でした。年長の子どもたち、有志のお父さん、お母さんと畑に赴き、縦横無尽に絡み合った蔓を解いて、返す作業をしてきました。
相愛のお父さんやお母さんたちは、子どもの園生活が豊かになるようにと、どのような時も協力的で、それは、誇らしい園の文化です。
9月27日の運動会もそうでした。プログラムには、見栄え重視のものは一つもありません。園児、保護者、小学生の兄姉や卒園生、入園前の子どもたち、参加者みんなが体を動かすことを楽しみ、心を解放する気持ちのよさを感じるものでありたいと願って準備し、当日を迎えました。
朝、テント張りをしていると「今年は、雨の心配もなくよかったですね。」と通りがかった卒園生のお父さんが声をかけてくださいました。校庭のライン引きは、小学校教諭の卒園生のお父さんとお母さんが引き受けてくださいました。すみれ組のダンゴムシの子どもたちが隠れる大きな布をはぎ合わせて作ってくださったのは、手芸係のお母さんたち。カスタネットを持って、ばら組の子どもが走って来て鳴らすのを楽しく盛りあげてくださったのは、すみれ組のお父さんたち。また、募集人数を上回ったばら組の保護者リレーの走者に対し、「では、私も走りましょう!」と手を挙げて、ばら組のお父さんたちのやりたい(走りたい)思いに応えて、人数合わせをしてくださった下の学年のお父さんたち。
どれもこれも、在園中であるとか、〇組であるとか、「うちの子」という枠を超えた幼稚園の運動会に対する温かく、積極的な気持ちでした。
さらに、子どもも大人も力を合わせた大玉転がしやワイワイと楽しく送った大人の紅白対抗大玉送り。全力を出して、本気で走ったクラス対抗保護者リレー。
大人の本気や楽しさ、やる気、喜びの姿を間近で見て、応援していた子どもたちの心は動きました。幼稚園の運動会は、参加したすべての人たちと共に喜んだり、悔しがったりしながら、人の心に触れ、一人ひとりが全力を尽くした育ち合いの場となりました。
運動会の前日、「運動会が終わったら、幼稚園の庭のみかんで作ったミカンジュースで頑張りを称え合おう!」と子どもたちと約束しました。
代休明けの9月30日は、美酒ならぬ美ジュースで乾杯しました。
10月になります。季節の移ろいを五感で味わいながら今月も共に歩んでまいりましょう。
( 園長 木﨑 曜子 )
「 あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのです」
〔 ペトロの手紙Ⅰ4章10節 〕