うれしい言葉
「暑い夏でした」で始まる9月号の巻頭言がもう何年も続いています。2025年の今年も猛暑日の最長、最多の歴代記録を塗り替える夏でした。幼い子どもと暮らす酷暑の日々は、いろいろと工夫を要したことでしょう。
日本で夏休みという制度が学校に導入されたのは、明治時代のことですが、幼稚園が夏休みであっても、子ども関連の企業から催し物のチラシ配布や市区から休暇中の家庭に問い合わせが必要な調査の依頼が来たりします。
今年の夏も8月10日を過ぎた頃、市の調査に対し、該当の家庭に電話やメールで問い合わせをしましたところ、その回答と共に、
「子どもたちは、真っ黒に日焼けして元気に過ごしています!」
「息子ものんびり夏休みを満喫しております。また、9月の登園を楽しみにしております。」
と、近況も合わせてお知らせくださり、うれしく思いました。
また、その中のお一人の返信は、
「雨が降ったり止んだりの中での工事、なかなか大変そうですね。
お出かけも酷暑か雨かで難しい日が続きますが、元気に過ごしています。」
と、この夏、行われている園舎の外壁塗装の工事に対して思いを馳せ、労いの言葉も添えてありました。それは、「夏休みだから、出かけていて調査の締め切り日に返答が間に合わない家庭だってあるのでは?」との私の懸念とは対照的な、相手の立場や気持ちを想像する心の感じられるうれしい言葉でした。
それから、10日程経って、夏休みも残すところあと一週間余りになった8月22日の夕方、草木に水遣りをしていると、「お里帰りでーす!」と元気な女の子の声。小学二年生になる卒園生のⅯちゃんでした。お母さんの自転車から飛び降りると、一目散に園舎の中へ。日直の大森教諭に迎えられると、幼稚園中を走り回り、最後にステージに飛び乗ろうとして、向う脛をぶつけて万事休す。幼稚園の頃と変わりないⅯちゃんの姿にクスッと笑ってしまいました。一方、私は大きな綿あめ機の箱を自転車に乗せたⅯちゃんのお母さんと立ち話。「今日は、幼稚園の頃のお友だちの家で遊びました。あちらには、かき氷機があって、綿あめにかき氷、まるでお祭りのようでした!」
と、楽し気な様子を教えてくださいました。
それにしても、「お里帰り」という言葉。どこで覚えたのかしら? と微笑ましく思いながら、幼稚園がⅯちゃんにとっての「お里(ホーム)」となっていることをうれしく思う夕暮れ時でした。
二学期が始まります。
愛されて、丁寧に育てられた幼い日の記憶がその子の人生を支える大切なものとなることを信じ、今の時を大切に過ごしていきたいと願っています。



「 主において常に喜びなさい。 」
〔 フィリピの信徒への手紙4章4節 〕