「 ありがとうって 」
6月の第二日曜日は、教会のカレンダーで「こどもの日・花の日」という日となっています。これは、こどもたちが神様に感謝を伝えるために、教会に花を集めて礼拝し、そして神様が出会わせてくださっている大切な人たちにも「ありがとう」を伝える時です。礼拝の後、近隣の家庭や警察署、消防署(こどもたちは消防車に乗れるかも?)などに訪問をします。
今年の4月、星野富弘さんが亡くなられました。聖書やキリスト教、教会のことをあまり知らない方々にも、その絵の美しさと添えられた言葉、詩によって多くの影響を与えたクリスチャンの一人だと思います。若い頃、事故により教員として生きる夢が失われ、多くの自由も失われてしまった星野さんが、聖書と出会って神様を信じ、神様から与えられている自分にしかできない力を見つけました。ご存知のように口に絵筆をくわえてキャンバスに描くというユニークな方法です。
星野さんの美しい花の絵には全て、神様への思いと、また感謝が込められています。私たちは上手くいかないことや困難にぶつかると、中々感謝する心を思い出すことができません。自分は世界で一番不幸なのだと思い込んでしまいます。数多くありますが、星野さんの記された言葉の一つで有名なものですが「いのちが一番大切だと思っていた頃、苦しかった」というものがあります。多くを失い、傷付き、悲しみでいっぱいの命、人生、自分。それを一番大切にしなければならないのは、失った自分の力ではどうしてもできませんから、苦しい。苦しみしかない。けれども命よりも大切なものがあると、星野さんは聖書から知って、それは神様であると信じた時、その苦しみから解放されたのです。私を大切にし、愛しているのは自分だけではない。神様がいる。神様の愛は決して変わりません。悲しみや不幸があっても、苦しみが続く時にも変わらない愛。こどもたちに知ってほしい聖書からのメッセージです。
神様のこども、イエスさまは「自分の命のことで思い悩むな」(マタイによる福音書6章25節)と教えてくださいました。先の星野さんの言葉と響き合う聖書の言葉です。思い悩むばかりではなく、神様を信じなさい。神様の愛に頼ったらいい。神様は、あなたを助けてくださる方と出会わせてくださるかもしれない。
ある年のこどもの日・花の日の行事で、警察署にお花と感謝のカードを届ける機会がありました。こどもたちは多少緊張しながら、「いつもありがとうございます!」とお花を渡しました。警察の方も大きな声で「ありがとうございます」と応えてくださったので、後からこどもたちは「あんなに喜んでくれるんだ!」、「ありがとうって言って、よかったー」と、達成感を味わっていました。その後、お花を受け取ってくださった警察の方からも丁寧なお返事を頂きまして、近隣のこどもたちからも愛され、感謝されていることを喜んでおられたことを思い出します。ありがとうの言葉、その思いを載せた花と、神様の不思議な導きによる出会いが、また一つ新しい、明るい明日を作っていくのだと気付かされました。いつも私たちを愛し、守ってくださる方々、何よりも神様のことをいつまでも覚えていたいのです。
〔 相愛教会牧師 長尾大輔 〕
「 見よ、それは極めて良かった。 」
〔 創世記1章31節 〕