希望の中で
「幼稚園、綺麗になりますね。」
「新年度の準備ですね。」
幼稚園の前の道を通る知り合いの方々から声をかけられた春休み。この春休みは、小さな園庭に小型のショベルカーが入り、表面の砂を浚って地面を整備し、フェンスやらせん階段、固定遊具の化粧直しをしました。
また、保育者たちは、例年のように、保育室を掃除し、ロッカーや靴箱に名前を貼って準備に勤しみ、これから始まる2023年度の新しい出会いと生活に備え、楽しみに待つ時でした。
一方、待ちかねて、春休み中に満開になったのは、晩秋に植えたチューリップでしたが、錆止めが塗られ、乾燥中の門扉の柵の間から赤・白・黄色のチューリップが風に揺れる光景も、なかなか愉快で可愛らしいものでした。
さて、学校(幼稚園)には、建学の精神があります。その学校(幼稚園)がめざすもの、育てたい人のあり方を言葉にしたものです。
「愛する者たち、互いに愛し合いましょう」
[ヨハネの手紙Ⅰ 4章7節]
“相愛の精神”が、私たちの幼稚園の建学の精神、保育の根幹です。
どんなに時代が変わろうとも、神さまが私たちを愛してくださっているように、私たちも互いに愛し合いましょうという、“相愛の精神”が、私たちの幼稚園の建学の精神、保育の根幹です。
そして、2023年度は、
「ともにつむぎだす -希望の中で-」
を保育の年主題に掲げて歩みます。
“つむぐ” といえば、私は今、津守房江先生から聞いた、
「人の一生は、糸を紡ぎ、布を織るようなもの。縦糸は、神様。そこに出会いや学び、喜びや悲しみなど、私の経験という横糸をかけて、紡がれる。」
との言葉を思い起こしています。
津守房江先生は、お茶の水女子大学で子どもの成長と保育について学び、津守真氏との結婚後、家庭で4人の子どもとの生活を経て、愛育養護学校で特別に手助けを必要とする子どもの保育に関わった先生です。
著書「心にふれる 心を抱く」の中で、
「成長に特別の助けを必要とする子どもたちのなかには、ことばの遅い子や、ことばの出ない子もいる。だが、心配してなんとか教えようとするよりも、その子の心を育てることの方が大切だと思う。ことばとは本来その子の心から出てくるものだから。心を育てることとは、その子が自分の存在に対する幸福な思いを持ち、周囲の人達にも関心を持つ様になることである。たとえ、ことばがでなくても心が育っていれば心と心が通い合えるからである。」
と、述べています。
子どもたちの何気ないしぐさやことば、やりとりに気持ちを向け、そこに込められているかもしれない大切な「意味」に向き合い、心と心を紡ぐ生活を重ねていきたいと願う新年度です。
どうぞ、よろしくお願いたします。
〔 園長 木﨑 曜子 〕
「 子供たちをわたしのところに来させなさい。 」
〔 マルコによる福音書10章14節 〕