コロナと共に

 卒園を前に、年長・ばら組は、都立武蔵野公園へ「お別れ遠足」に行きました。これまでに、親子遠足の機会を持てなかったので、「参加可能な方は、ご一緒にいかがですか。」と呼びかけました。すると、16名のお母様から、「行きます!」との返事があり、2023年2月2日、ばら組の子どもたちと担任の内橋、主任の高屋、そして、お母様方で、武蔵野公園・西側に位置するくじら山と呼ばれる小高い山をめざして出発しました。
 公園の広場では、たくさん走って、遊んで、お弁当もみんなで食べて、楽しい時を過ごしました。ですが、この日は、風が冷たく、正午近くにやっと10℃に届く気温でしたので、予定を繰り上げて、早めの解散となりました。

 ところで、今回のお別れ遠足は、日和に恵まれたとは言い難いものでした。けれども、その翌日、カメラマンの鷲野さんが届けてくださった遠足の画像データを見て、私は嬉しくなりました。広場で鬼ごっこをしている時やくじら山の頂上にある木の立て札をめざして駆け上っている時の子どもたちの飛び切りの笑顔。なんて生き生きと楽しそうなのでしょう。そこに、「今を喜んで生きる」子どもたちの姿を見たのです。

 今年の年長組は、2020年4月7日に発出された新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の三日後、4月10日に入園した子どもたちです。入園の日は、10時から11時30分までの間の時間を選んで親子で登園し、園庭で「入園の祈り」を捧げ、翌日から2ヶ月に及ぶ休園期間に入りました。
 この年、2020年4月号の相愛だより巻頭言には、「昨年度の終わりから猛威を振るう感染症の拡大が収まらない中、新年度を迎えました。4月12日は、イースター(復活祭)です。復活のイエス様が共に歩んでくださる希望を頼りに、謙虚さと勇気をもって新年度を始めましょう。」とあり、そのタイトルは、「主イエスと共に」でした。
 なお、保育の再開は、6月1日。私は、その直前に聞いた、作家・村上春樹の「ウイルスとの戦いは、善と悪、敵と味方の対立じゃなくて、ぼくらがどれだけ知恵を絞って、協力し合い、助け合い、それぞれをうまく保っていけるかという試練の場です。殺し合うための力の戦いではなく、生かし合うための知恵の戦いです。」との言葉が胸に響き、保育の再開にあたり、単に恐れるだけでなく、穏やかでありながら怠りなく、大らかでいながら繊細に、保育を進めていこうと思ったのでした。それから、何度か波がやって来ましたが、そのたびに乗り越え、ここまで来ました。

 この三年は、まさに「コロナと共に」歩む日々でした。しかし、そのような中にあっても、2020年4月から5月にかけての全国一斉臨時休校明け以降、健康な子どもたちの育ちの場である幼稚園の保育を一度も止めることなく続けられたのは、保護者の皆さまのご理解とご協力があってのことと感謝申し上げます。
 年長・ばら組の子どもたちは、まもなく卒園の時を迎えます。制限のある状況にあっても、今を受け入れ、心と体をしっかり使ってよく遊び、仲間と共に育ち合った子どもたちの巣立ちです。
 「主イエスと共に」ありますよう、祈ります。

                                    〔 園長 木﨑 曜子 〕

「 強く、雄々しくあれ 」

          〔 ヨシュア記1章5~6a節 〕

武蔵野相愛幼稚園

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