手作りパンとクリスマス
パン職人“むぎおさん”の物語と共に過ごし、楽しんでいる年中・すみれ組の子どもたち。
昨年12月の初めに、むぎおさんから手紙が届きました。
「すみれ組のみなさん、私のパン作りの腕が上がるようにいつも応援してくれてありがとう。私も美味しいパンを焼けるようになってきました。今日は、『子どもにもおいしく焼けるパン』のレシピを見つけたので送ります。よかったら、つくってみてください。 むぎおより」
子どもたちからはすぐに、「作りたい!」「作ろうよ!」と声があがりました。作ること、食べることの大好きな子どもたちらしい反応でした。
レシピに従って、粉を捏ね、子どもたちの小さな手で生地を丸めて、オーブンレンジで焼いてみると…。焼き上がったパンは、上出来で、「おいしいね~!」と、子どもたちも大喜び。
それに、続きがありました。
みんなで作った一口大のパンは、全部で130個余り。すみれ組の子どもたちと保育者たちの試食後もトレーの上には、100個のパンがありました。そのパンを巡って、子どもたちは考えました。
「ここに居るみんなで食べちゃう?」
「家に持って帰ろう!」
「それより、お迎えに来たお母さんたちに買ってもらうっていうのはどう?」
「いいね。そのお金は、献金箱に入れよう!」
数日前にクリスマスの献金箱を作った子どもたちから出てきた考えでした。
それから、保育者が「100個あるから、1つの袋に5個ずついれると20の袋が出来るわ。ちょうど、すみれ組の子どもの数と同じね。」と言い、パンは20の袋に分けられ、袋の口は、子どもたちがそれぞれ選んだ毛糸を使って自分で結び、一袋5個入り、50円で販売することにしました。
「わたしの家は、五人家族だから、ちょうどいい!」
「ぼくの家は、三人家族だから、おじいちゃんとおばあちゃんが来たときにみんなで食べる!」
「わたしの家は、六人家族だから、わたしと弟は半分こにして食べる!」
人の幸せとは、どれだけお金や物を豊かに所有しているかではなく、どれだけ分かち合うことが出来るかということでありましょう。
イエスさまの降誕を待ち望む待降節の時、手作りのパンを巡って、クリスマスの喜びを分かち合うために自分たちにできることを考える子どもたちの発想は豊かで、その場は温かく、恵みに満ちていました。
クリスマスが喜びに溢れているのは、私たちに希望が与えられたからです。
新しい年、私たちのために大切な独り子を惜しみなく与えてくださった神さまが、私たちの歩みをいつも支えてくださり、より良き道を示してくださることを信じて進んで参りましょう。
本年もよろしくお願いいたします。
〔 園長 木﨑 曜子 〕
「 一緒に喜んでください 」
〔 ルカによる福音書15章1~7節 〕