「 あなたがたのために 」

 2022年度の相愛教会の教会学校(CS)が主題としている聖書の個所は新約聖書のヨハネによる福音書10章14節の御言葉です。「わたしは良い羊飼いである。わたしは自分の羊を知っており、羊もわたしを知っている。」という御言葉を一年間大切にしつつ活動をしています。この「わたし」とは主イエス・キリストであり、羊は私たち人間一人ひとりを指しています。主イエスが私たちを本当に知って下さる、つまり愛して下さっているということです。主イエスは私たちを導く「良い羊飼い」として、私たちを愛して下さるお方なのです。
 当時の羊飼いたちは夜通し羊の群れの番をするという仕事のために、決められた礼拝に集うことが出来ず社会的に弱い立場にあったのではないかと言われております。
 
そのような羊飼いたちが主イエスの誕生を祝う場面に登場いたします。主イエスがお生まれになった晩も、羊飼いたちはいつものように羊の世話という自分たちの仕事をしていました。そこへ主の天使が近づき「あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。」とイエス・キリストの誕生を告げます。いつもと変わらない日常の中で、大きな喜びが告げられました。この喜びの知らせを受け、羊飼いたちは「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」と旅立ちます。羊飼いたちはベツレヘム、つまり自分たちの救い主のところへと向かうのです。
 
私はこの「ベツレヘム」という地名を聞きますと、かつて新婚旅行で訪ねた生誕教会を思い起こします。生誕教会の地下には14の角を持つ銀の星が設置され、そこで主イエスがお生まれになったと伝えられており、今なお多くの人たちが聖地として訪れています。
 
羊飼いたちは神様によって選ばれ、救い主イエス・キリストの誕生を告げられ、主イエスの元へと導かれます。羊飼いたちは自分たちが本当に礼拝するお方、本当の安らぎを与えて下さる方、頑なな心を柔らかくして下さる方の元へと導かれます。
 
私たちもまた羊飼いたちと一緒に救い主の元へと導かれます。この小さな赤ちゃんである救い主イエス・キリストはやがて十字架の死へと歩まれ、私たちの救いを実現して下さるお方です。この時はまだそのような片鱗も見えない、小さな赤ちゃんですが、世界の救い主であられたのです。
 
この時代に、この場所に命を受けた私たちは当時の羊飼いとは全く違う環境にありますが、私たちもまた本当の救い主の元へと導かれます。
 
羊飼いたちは本当の救い主を礼拝し、心の安らぎを得ました。なぜなら、救い主イエス・キリストにお会いし、大いなる喜びを与えられ、神様を賛美しながら帰って行ったと聖書は告げています。

 今年も新型コロナウィルス感染症の影響が大きい一年でした。世界では争いが続いており、それに伴い私たちの生活も色々な影響を受けております。私たちは本当の救い主イエス・キリストの誕生によって、世界が喜びに満たされ、平和な世界となり、賛美の声が溢れますように、と祈りを合わせたいと思います。

〔 相愛教会牧師 長尾 ハンナ 〕

「 さあ、ベツレヘムに行こう 」

         〔 ルカによる福音書2章8~20節 〕

武蔵野相愛幼稚園

住所

〒180-0003
東京都武蔵野市吉祥寺南町2-31-4