喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣く

 

 5月の第二日曜日は、「母の日」でした。
 相愛幼稚園では、5月9日の月曜日に「母の日」を祝いました。子どもたちは、連休前からお母さんへプレゼントを作り、讃美歌もみんなでうたって、母の日に備えました。
 けれども、9日の母の日に年長・ばら組のAちゃんは早退しなければならなくなりました。小学生のお姉さんの体調が思わしくなく、学校を早退することになったので、妹のAちゃんも帰らねばならなくなったのです。お母さんからの連絡があって、Aちゃんに事情を伝えるとAちゃんは、私に抱きついて「帰りたくない。みんなと一緒にママにプレゼントを渡したい。」と言って泣きました。迎えにいらしたお母さんに幼稚園の玄関で泣きながら、プレゼントのペンダントを渡しました。Aちゃんの気持ちを察したお母さんが、「ありがとう。ばら組のお母さんの中でいちばん初めにもらえて嬉しいよ。」とおっしゃって受け取ってくださると、Aちゃんは、涙声で「どういたしまして。」と言いました。そして、二人は帰っていきました。
 さて、今年のばら組には、連休後に転入園してきたBちゃんや連休前に欠席が続いてお母さんへのプレゼントをつくる時間がなかったC君がいました。ですから、BちゃんとC君のお母さんには、「プレゼントが出来たら、お渡ししますね。もう少しお待ちください。」と9日の母の日にお伝えしました。
 そして、その週末、5月13日の金曜日。BちゃんとC君のお母さんへのプレゼントが出来上がり、この日の帰りにお渡ししようという日。週の初めの月曜日に様々な事情(病欠、お母さんの都合、そして、早退したAちゃん)で、あの場に居なかった母子(全部で6組)も一緒にその時を過ごせたらいいね、ということになりました。
 朝、お母様方に声を掛けると、全員が「午後1時45分に幼稚園に来られます!」という返事。そこで、ばら組は、月曜日に続き、金曜日も「母の日」を祝いました。


 この集いの直前、私は、ばら組の子どもたちに「月曜日の母の日に、〇ちゃんは…」と一人ひとりの事情を話し、「それで、今日、1時45分に6人のお母さんがいらっしゃるので、ばら組のみんなで心を込めて、讃美歌『おかあさまといっしょ』をうたいましょう。」と告げました。すると、Eちゃんは、とびっきりの笑顔で、手をたたいて喜びました。
 Eちゃんは、昨年度ご家族の事情で、長期におよぶ欠席の期間がありました。家族は、ワンチーム。一人の喜びは、みんなの喜び。一人の困難はみんなで分かち合う。この時を経て、今、月曜日に叶わなかった友だちの思いが果たされる機会が与えられたことを自分のことのように喜んでいるEちゃん。その笑顔を見て、私は大変うれしく思いました。
 感染症や戦争によって、人と人との関係の分断が叫ばれる今、周りの人への共感こそが、隔てられたものを一つにしていく原動力です。


 「 喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」
              ( ローマの信徒への手紙 12章15節 )
 暮らしの中で体験する幸せや悲しみを、自分のことのように一緒になって喜んだり、泣いたりしながら他者の体験に心を寄せ、分かち合いながら生きていく一人ひとりでありたいと願います。
                           〔 園長 木ア 曜子 〕

 

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「 探しなさい。そうすれば、見つかる。 」

       〔 マタイによる福音書7章7〜12節 〕