もろびと こぞりて

 

 お家の方を迎えて行う相愛幼稚園のクリスマスページェント(降誕劇)は、コロナ以前から園児1名につき、参加の保護者1名という限定の人数で守ってきました。それは、世界で最初のクリスマスが粗末な家畜小屋でのひっそりとした夜の出来事であることを追体験する時として、大切に思っているからです。クリスマスは、この小さな出来事の中に神さまの大きな業を思い巡らす時です。 
 その一方、救い主の誕生は、「民全体に与えられる大きな喜び」(ルカ2:10)ですから、出来るだけ多くの方々とお祝いしたいとの思いももっています。そこで、毎年、「よろしければ、どなたでもお出でください。」という日も設けています。今年度は、12月17日(金)がその日でした。この日は、二学期終業前の保育日でもあり、庭で遊ぶ子、絵を描く子、ものを作っている子、ページェントに参加する子、さまざまに自分で遊びを選び、過ごしていました。 

 

 ページェントの開演は、9時50分。開場の9時45分には、園児のお父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、おじさんもひいおばあちゃんも、弟妹の赤ちゃんたちもやって来ました。まさに、“もろびとこぞりて” です。 
 出演を希望する子どもたちの準備が整い、ページェントが始まりました。この日は、15日に捧げたページェントには出ていなかったロバが出て、お腹の大きなマリアに寄り添いながら、ベツレヘムまでの道行きに伴いました。聖書のクリスマスの記事の中に、ロバは登場しませんが、多くの絵画や演劇においてロバが出てくるのは、そこに神さまの御心があるからでしょう。馬のように速く走れない、強くないロバを従順で賢明な、信頼できる動物として、救い主の誕生を前に用いられたのは、神さまの御心。小さく、弱い、無力な私たちを神さまは、生かして、大きく用いてくださるのです。    
 また、このページェントの最中に、客席の赤ちゃんがぐずり始めました。お母さんは、「どうしましょう…」と動揺しているように、私の席からは見えました。すると、その隣の席に居合わせたお母さんが「私が赤ちゃんを見ててあげるわ。うちの子は今日、他で遊んでいて劇に出ていないから。」と静かにおっしゃったのです。
 結局、赤ちゃんは、自分のお母さんの腕の中に居ることを希望したのですが、このちいさなやりとりの中に、優しく、穏やかで、温かい空気が満ち、神さまが私たち人間に望んでおられる隣人愛の実践を見たように思いました。 

 クリスマスに一人ひとりの心にイエスさまを迎えた私たち。 
 神さまの愛は、私たち一人ひとりを生かします。分断の中に分かち合いを。滅びの中に再生を。絶望の中に希望の光を照らすのです。
 神さまの恵みを信じて、新しい年も歩んでまいりましょう。

                         〔 園長 木ア 曜子 〕

 

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聖書のことば

「 子よ、元気を出しなさい 」

                       〔 マタイによる福音書9章2節 〕