Go To 御殿山
のねずみの“ぐりとぐら”から武蔵野市御殿山にある“ちゅうたのアイスクリーム屋”を紹介されたすみれ組の子どもたち。店の一押し、「バニラアイスクリーム」を購入するには事前予約が必要ということで、子どもたちはクラス全員の名前と先生の名前を書いた申し込み用紙をちゅうたのお店に送りました。そうして、予約が完了し、受取日は、10月16日の金曜日と決まりました。 わくわくしながら迎えた当日。その日、子どもたちは登園するとすぐに「御殿山って、井の頭公園の三角広場とは反対の方向だ。」という知識だけを頼りに園を出発しました。井の頭公園に着くと、お店の場所を知らせる→を発見! 矢印に従って、歩いて、歩いて、ようやく到着したちゅうたのお店。
しかし!
お店にちゅうたの姿はなく、子どもたちに宛てた箱がありました。
箱の中には、「冷凍庫が壊れたので、今日は代わりに用意したお菓子を食べてください。アイスクリームは必ず幼稚園に届けます。」という手紙とお菓子が入っていました。
子どもたちは、「冷凍庫が壊れたのなら仕方ないね」と言い、広場でお弁当をひろげ、食後にちゅうたからもらったお菓子を食べました。
さて、週明け、19日の月曜日にクール便でアイスクリームが幼稚園に届きました。
子どもたちは大喜び!
幼稚園の3つのクラスが集いの時間に、すみれ組は、アイスクリームを食べました。
さすが、一押しというだけあって、美味しいアイスクリームでした。
しかし!
ばら組のA君が自分のクラスを抜けて、すみれ組がアイスクリームを食べるのを見ていたのです。
A君と目が合ったすみれ組のB君は、「アイスクリームを食べてるんだ。」と言いました。その場はそれで済んだのですが、今度は、すみれ組の降園時間にA君はクラスの集いを再び抜けて、B君たちのいるホールにやってきました。
A君は、「すみれ組だけアイスクリームを食べてただろ!」と凄んで言いました。
すると、B君は、「アイスのこと、A君にしゃべっちゃったんだ〜」と泣き出しました。号泣するB君の傍にいた子たちは、気まずい表情を浮かべながら、何も言えないままでした。その時、担任に呼び戻され、A君はその場から退場。
B君は「もう言わないよ。すぐに帰りたい。ママに会いたい!」と泣き続けました。
すると、そこにいたCちゃんが誰に言うともなく静かに、「欲しい子がいたら、分けてあげればいいんだよ。」と言いました。その言葉がB君にも聞こえたのか、B君はふと我に返り、涙をぬぐいました。
Cちゃんは、ちょうど一年前、テラスに開店した梅ジャムクラッカー屋さんに「ください」が言えずに、苦しい思いをした子です。
でも、その時、欲しいけれど素直に「ください」の言葉が出ないCちゃんの葛藤を自分の姿とも重ねて受けとめた店員のDちゃんは、「はい、どうぞ!」と、Cちゃんにクラッカーを差し出してくれたのです。それを喜んで、パクリと食べたのが、Cちゃんでした。
クラッカー屋さんの出来事から一年。Cちゃんの言葉は、D.L.ノルテの「子どもは、まわりから受け入れられて育つと世界中が愛であふれていることを知る」という言葉を彷彿とさせるものでした。
〔 園長 木﨑 曜子 〕
「 ちゅうたのお店はどこかな〜?」
「 やっぱり、おいしいね!」
聖書のことば
「 わたしがあなたを愛したように、互いに愛し合いなさい。」
〔 ヨハネによる福音書15章12節 〕