2019 相愛クリスマス物語

 

 

「2019 相愛クリスマス物語 1」― 温かいまなざし ―

 

 収穫感謝祭が終わり、クリスマスの準備を始めるアドベント(待降節)に入ると、クリスマス礼拝で捧げるページェント(イエス・キリストの降誕劇)のコーナーが加わります。クリスマス礼拝の一週間前になると役柄を固定しますが、それまでは、集まった子どもたちがやりたい役になって劇が行われます。ですから、ある日は、マリアが4人とか、羊飼い6人に対して、羊が1匹とか…。
 そして、クリスマス礼拝の日に演じる役柄を決める時が来ると、年長組の子どもから役柄の希望が優先されることになっています。

 さて、クリスマス礼拝を一週間後に控え、希望の役柄を一人ひとりに聞いた時、年長・ばら組の子どもの中にマリアの夫であり、イエス・キリストの父であるヨセフの役をやりたい子がいませんでした。担任教師は、「ヨセフ役の子がいないのだけれど、誰かやってみようという人はいますか? もしも、いないようだったら年中・すみれ組の子にお願いしようと思うけれど…。」と子どもたちに投げかけました。すると、しばらくして、A君が「ぼく、ヨセフをやる。」と申し出ました。A君は今年、博士をやりたいと考えていました。けれども、ヨセフがいないと知って、「ぼくが、やる」と言ってきたのです。担任は、「そう、それでは、A君にヨセフをお願いしますね。」と答えました。 

 それから、クリスマス礼拝を迎えるまでA君は葛藤の日々でした。「ヨセフをやる」とは言ったものの、博士の役に対する気持ちも大きく残していたからです。博士役の子が病気で欠席した日には、「すわ!ぼくが博士を演じることになるかも?」と心が動いたことを保育者は、見逃しませんでした。また、「ヨセフはマリアと結婚するんだよな〜」と同級の男の子から冷やかされた時は涙を流して悔しがりました。

 年中・すみれ組にヨセフ役を希望する子がいましたし、これまでのA君の様子を見ていた降誕劇担当の保育者は、A君に「博士がやりたいのだったら、博士ができるのよ。どうする?」と聞きました。けれども、A君の答えは一貫していました。「ヨセフをやる!」と。私たち保育者はA君の決断を応援し、見守ることにしました。
 そうして迎えたクリスマス礼拝当日。A君はマリアを優しくリードするヨセフの役を立派に演じました。息子の気持ちに寄り添い、支えてくださったA君のお母様は、「息子の成長に感動しました。」とおっしゃり、私たち保育者もこの経験を通して、ひと回り大きくなったA君を嬉しく思いました。

 

 今年度も11月下旬の一番初めのページェントから12月16日のページェントまで、毎回、心を込めて神さまに捧げてきました。
 ページェントは、イエス・キリストの降誕物語に他なりませんが、それと共にそこには、演じる一人ひとりの“子どもの育ちの物語”があるのです。ページェントをご覧になった後、「我が子の成長はもちろんのこと、クラスのみんなの成長が感じられ、嬉しかった。」とか、「今年のひよこ組の子どもたちが年長になったときのページェントが楽しみ。」と感想を伝えてくださった親御さんは、そのことをよくご存知なのでしょう。
 新しい年も子どもの育ちを温かいまなざしで見守り、共に喜び合える一年でありますように。

〔 園長 木ア 曜子 〕  

 

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「2019 相愛クリスマス物語 2 」― あこがれの存在 ―

 

 アドベント期間中、園庭では大縄跳びを楽しむ子どもたちがいました。はじめは数人だけでしたが、少しずつ興味を持って参加する子どもが増えてきました。その中で年長のAくんは、やりたい気持ちと失敗するのではないかという緊張の間でなかなか挑戦できずにいました。しかし、仲良しの友だちが上達していく姿や跳べたときに喜ぶ姿を見て、「僕もやる」と決心して参加しました。緊張しながらも、友だちから応援され、少しずつ跳べるようになると、Aくんの表情もほぐれてきました。そして、初めて10回以上跳べたとき、喜びを噛みしめるように「よっしゃ」と小さく拳を握りました。その姿を見て、応援していた友だちも「やったー!」と心から喜び、これまで大縄跳びをやってきていた友だちも、さらに頑張るようになりました。友だちの姿を見て勇気をもらい、達成感や喜びを味わう人、さらにその姿から力をもらう人など、子ども同士で成長し合う姿がそこにありました。

 

 11月の終わりから12月にかけて、園庭で大縄跳びや短縄跳びをして遊ぶ子がいる時、幼稚園のホールでは毎日ページェントが行われていました。なりたい役があって毎日ページェントにくる子どもや、興味はあっても役になる勇気はまだ出ない子どもなど、その場に集まる人たちは様々でした。 
 庭で大縄跳びに挑戦した先ほどのAくんと仲良しのBくんは、博士になりたいと毎日ページェントに参加して、真剣な表情で取り組んでいました。一度ページェントが終われば、直後に「もう一回やりたい!」と言い、「緊張したけど頑張れた」、「次はもっとできると思う」と少しずつ自信をつけて、日ごとに立派な博士になっていきました。

 

 そんなある日、ページェントにあまり関心を示さない年少のCくんに、保育者が「一緒に見に行ってみよう」ともちかけ、Cくんと保育者が一緒にホールに見に来ました。ページェントの序盤は、あまり興味が持てない様子のCくんでしたが、AくんとBくんが博士として登場してきたときに表情が変わりました。Cくんの目の前を堂々と歩く二人を見て、「AくんとBくんだ…」と驚きを含んだ声でぽつりと呟き、視線は真剣にページェントを捧げる二人を追っていました。Cくんにとって、憧れのかっこいいお兄さんであるAくんとBくん。その二人の一生懸命な姿を見て、「真剣に頑張るって、あんなにかっこいいんだ…!」と感じたCくんは、その日以降、クラスの活動にも興味を持って真剣に取り組もうとする姿が増えてきました。
 これほど年少のCくんの心を動かした年長のAくんとBくんも、年中だった昨年、博士を演じた年長の子どもを見て憧れを抱き、自分もあんな風になりたいと強く思い、今年のクリスマスにその思いを実現したのだとクリスマスを終えて、お母様が教えてくださいました。AくんもBくんも憧れの先輩から影響を受け、今の姿があるのです。憧れの先輩から力をもらった子どもが成長して、今度は、自分が憧れの存在として後輩に力を与える存在になるという連鎖が、子どもたちの生活の中にはたくさんあります。子ども同士で影響し合い、成長し合える環境を大切に、これからも保育をしていきたいと思うのです。                    
                          〔 教諭  増岡 ひかり 〕

 

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「2019 相愛クリスマス物語 3 」― ささげる心 ―

 

 12月7日(金)三回目のアドベント礼拝で、博士たちがそれぞれ一番大切な物を馬小屋の赤ちゃんイエス様に捧げた話を聞いた後、ばら組で子どもたちが話していました。Aちゃんは、「私は、イエス様に“おめでとう” の気持ちと、神様に“ありがとう” の気持ちを捧げたいな」と言いました。Aちゃんはつい先日も、「イエス様が生まれた飼い葉桶の傍に神様はいるし、みんなの心の中にも神様はいると思う。」と嬉しそうに言っていました。
 神様は私たちのために御子イエス・キリストをこの世にお遣わしになりました。私たちのことを深く愛してくださっています。そのことを心にとめ、感謝と喜びをもって迎えるクリスマス。Aちゃんの言葉から、神の御子であるイエス・キリストがお生まれになるという、嬉しくて、わくわくした気持ちが伝わります。
 また、幼稚園では、クリスマスを通して、与えられる喜びと与える喜びの両方を子どもたちに経験させたいと思っています。クリスマス献金はそのひとつです。身近で困っている人たちや世界で苦しんでいる人たちのために何ができるかを考えて、イエス様がされたことに倣って、私たちができる「愛」のかたちとして、献金をささげます。子どもたちはアドベントに入るとすぐに手作りの献金箱を持ち帰りました。
 それから、数日して、Bちゃんのお母様が教えてくださいました。「昨日、娘はサンタさんへプレゼントのお願いの手紙を書いたのですが、前半は、欲しがっていたリカちゃん人形の小物のこと、それから、後半は、『せかいのみんなと びんぼうなひとにも 恵まれてください』と書いてありました。こういう考えをこの年齢でもっていることを嬉しく思いました。さらに、先生方の話を素直に受け止め、自分のこととして考える娘に、このまま素直で優しい子に育って欲しいと思いました。」と。
 AちゃんやBちゃんの様子から、クリスマスのほんとうの意味を知り、イエス様を迎えるために心の準備をして、クリスマスを待っていたことがわかります。それは、この二人だけでなく、他の子どもたちも同様でしょう。
 神さまへの賛美は、言葉や歌、また幼稚園のクリスマス祝会で登場した太鼓を叩くのが得意な少年ピーターのように楽器の音であったりと、表現の仕方は異なりますが、一人ひとりの捧げる心が込められています。
 子どもたちがクリスマスを通して改めて世界平和を願い、神様やイエス様が傍にいてくださる安心感をもって、これからも過ごしていけますように願っています。    

〔 教諭  内橋 芽衣 〕  

 

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聖書のことば

「 わたしを強めてくださる方のお陰で、わたしにはすべてが可能です。」

                           〔 フィリピの信徒への手紙4章13節 〕