平和をつくる子どもの原体験

 夏休みも残すところ三日という8月31日の夕方、園児のお父さんたちが主催してくださった「流しそうめん大会」が行われました。
 この日は、正午からお父さんたちが準備に取りかかってくださいました。ワイワイ・ガヤガヤ、「この時間が楽しみだったりして…」とおっしゃりながら勤しむ様子に通りがかりの街の人たちも「いったい何が始まるのだろう?」と興味深げに庭を覗きながら通り過ぎていきました。
 さて、夕方になり、会が始まると、持ち場をきっちり守るお父さんや緩めに守るお父さん。流れてくるそうめんを逃すまいとすくう子どもたちの真剣なまなざしと箸使い(フォークの人もいましたが)。むずたのしいこと(ちょっと難しいことが楽しい!)が、大好きな子どもたちの嬉しそうな顔・顔・顔! そして、そうめんをすすりながら、談笑するお母さんたち。
 相愛の小さな園庭は、集まった子どもや大人で埋め尽くされて、大いに盛り上がりました。 

 ところで、私は、この夏、自身の所属する教会の教会学校・夏期学校の準備の時に、
 「せんそうしない」(文:谷川俊太郎 絵:江頭路子 出版社:講談社)
という絵本に出会いました。

 みずみずしくやわらかな江頭路子さんの絵と谷川俊太郎さんの短くてシンプルな言葉で綴られているこの絵本は、
 「ちょうちょとちょうちょは せんそうしない
  きんぎょときんぎょも せんそうしない」で始まり、
 「こどもとこども せんそうしない 
  けんかはするけれど せんそうしない
  せんそうするのは おとなとおとな」と続きます。

 作者の谷川俊太郎さんは、ある時、戦争について、次のように述べています。
 「平和を自分の外につくるものだと考えると、平和をめざして戦争をするということ
  にもなる。自分の心を平和にするのはむずかしい。でも、まず始めにこう考えてみ
  たらどうだろう? 戦争は自分の心のなかから始まると。戦争をひとのせいにしない
  で、自分のせいだと考えてみる。
  人を憎んだり、差別したり、無理に言うことをきかせようとしたり、自分の心に戦
  争につながる気持ちがないかどうか。自分の気持ちと戦争は関係ないと考えるかも
  しれないが、それでは戦争はなくならない。
  まず、自分の心のなかで戦争をなくすこと、ぼくはそこから始めたいと思う。」
  と。

 

 「神さまの望まれる平和を共に考え、祈る」は、2019年度8月と9月の二ヶ月にわたる相愛幼稚園での保育の「月の願い」のひとつです。 復活のイエスさまは、弟子たちに「全世界に出て行き、すべての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい。」(マルコ福音書16:15)とおっしゃいました。


 子どもの原体験が平和をつくると信じています。
 原体験を豊かに重ねた子どもたちは、相愛の小さな庭にとどまることなく、全世界に出て行き、平和をつくり出す者として生きるようになるでしょう。
 流しそうめんの日の子どもたちを見ていてそう思わされ、これから始まる二学期の日々も一人ひとりの子どもにとって、かけがえのない時が守られ、祝されますようにと祈りました。

〔 園長 木﨑 曜子 〕   

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お父さんたちの"試し流し"

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「 さあ、きたぞ!! 」

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 「 こんなにとれた! 」

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スーパーボールすくい

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「 流しそうめん おいしかった! 」

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日暮れの花火

 

 

聖書のことば

「 沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい 」

                 〔 ルカによる福音書5章4節 〕

武蔵野相愛幼稚園

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