本当の喜び

 わが家の年少の息子からも「アドベントクランツに あかりがつくと かみのこ イエスさまのおたんじょうがちかくなる」という歌声が聞こえる季節となりました。 多くのキリスト教主義幼稚園では色々な形式はあるでしょうが、子どたちが降誕劇(ページェント)を通して主イエスの誕生をお祝いします。その愛くるしい姿に喜びと感動を覚えるものです。私自身も幼い頃に降誕劇に参加したことがありますが、子どもの降誕劇を見る側になりますことは本当に嬉しいことです。

 私が「降誕劇」と聞いて思い起こす、ある牧師が書いた「星を動かす少女」という詩をご紹介します。

 「クリスマスのページェントで、 日曜学校の上級生たちは 三人の博士や 牧羊者の群や マリヤなど それぞれ人の眼につく役を ふりあてられたが、一人の少女は 誰も見ていない舞台の背後にかくれて 星を動かす役があたった。『お母さん、私は今夜星を動かすの。見ていて頂戴ね』その夜、堂に満ちた会衆は ベツレヘムの星を動かしたものが 誰であるか気づかなかったけれど 彼女の母だけは知っていた。そこに少女のよろこびがあった。」

 この少女に与えられたのは天使やマリアという人の目につく役ではなく、舞台の背後で星を動かす役でした。舞台の裏ですので、星を動かしているのは誰であるか気づかれない役です。でも少女の母親は娘の役が星を動かす役ということを知っています。
 星は人々を救い主イエス・キリストの生まれた馬小屋へと導く大切な役です。
「 彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、
  ついに幼子のいる場所の上に止まった。 学者たちはその星を見て喜びにあふれた。」
                              ( マタイによる福音書2章9〜10節 )

 誰の目にも触れない小さな役もまた、実はとても大切な役だったのです。
 そして、母親にとってはかけがえのない愛娘の役です。
 同じように実は、ベツレヘムの小さな家畜小屋に生まれた小さな赤ちゃんも世界の救い主だったのです。
 世界で最初のクリスマス!


 子どもたちは「降誕劇」で一人ひとり与えられた役割を通して、全身で、主イエスの誕生をお祝いします。「演じること」は大きな経験となるでしょう。
 やがて、子どもは成長し、人生という舞台で色々な役割を演じる、担うことになります。時にすべてが思い通りに、順調に進むとは限らない歩みもまたあるでしょう。失敗の連続ということもあるかもしれません。けれども、確かに、どのような時も、一人ひとりを知っていてくださるという、大きな愛の眼差しが私たち一人ひとりには注がれています。この少女の母親の眼差しもまたはまさしく、神さまの愛の眼差しです。そして、その眼差しを注がれた少女は本当の喜び、愛されていることを知ります。
 たくさんの喜びが溢れるこの季節、本当のクリスマスの喜びの時をお子さまと一緒にお過ごしください。小さな子どもたちの胸に、クリスマスの大きな喜びの思い出となりますように、心よりお祈りいたします。


「 天使は言った。
 『恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。
  今日ダビデの町で、あなたがたのために
  救い主がお生まれになった。 この方こそ主メシアである。』」

                  ( ルカによる福音書2章10〜11節 ) 
                     〔 相愛教会牧師 長尾 ハンナ 〕   

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聖書のことば

「 学者たちはその星を見て喜びにあふれた。」

                  〔 マタイによる福音書2章10節 〕

武蔵野相愛幼稚園

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