人生の支えになる力

 

 夏休みの始まる直前に行われた大豆生田先生の講演会で、「子どもと共にあることが大人の希望」であると聞いた私たち。また、同時に育児は、誰がやっても単に「楽しい」だけのものはなく、小さな子どもを育てていると「かわいい」と思ってはいても、焦ったり、苛立ったりする「苦楽(くるたの)しい」もの。だから、子育ては一人で抱え込まないことが大切であるとも聞きました。
 40日におよぶ今年の夏休みは、親子にとってどのような日々でしたでしょうか。

 私たち保育者は、夏休みの預かり保育にやって来る子どもたちを専任スタッフに委ねて、代わる代わる夏期休暇を取って、リフレッシュしたり、研修会に参加したり、二学期からの保育に備えて準備をしたりして過ごしました。

 さて、昨今の幼児教育研修会でのキーワードは「非認知能力」です。
 非認知能力とは、目標に向かって頑張る力、他の人とうまく関わる力、感情をコントロールする力などのことをいいます。
 数がわかる、字が書けるなど、IQなどで測れる力を「認知能力」と呼ぶ一方で、IQなどで測れない内面の力を「非認知能力」と呼んでいます。
 では、いまなぜ、非認知能力が注目されているのでしょうか?
 人は、「文字が読めるとか上手く積木を積み上げられる、三角形と四角形と五角形を区別できる」といった、目に見えて知的に賢くなったと感じる認知的な能力を重視しがちです。
 しかし、幼児期に認知的な能力を高めることが、その後の人生の安定や幸福度とは、あまり関係ないことがわかってきたのです。
 大事なことは、うまくいかないときに諦めず「どうしてかな?」「こうやってみよう!」「これがだめなら、ああやってみよう!」など、目標の達成まで頑張る姿勢なのです。また、我慢することや感情をコントロールする力も大事な力です。
 このような力は、誰かにさせられてやるのではなく、自発的な遊びの経験を通して育つものであり、また、その中で、やる気や意欲、粘り強さ、探求していく力を積み重ねていくことで育まれていくのです。この力こそ、人生を支える力となる非認知能力です。

 日本の幼児教育は伝統的に心情・意欲・態度を育てることをめざしてきました。相愛幼稚園においても同様で、子ども一人ひとりの興味や意欲を丁寧に見取って環境を構成する「遊びを中心にした保育」をしてきましたから、非認知能力は、すでに馴染みのある概念です。それでもなお、今、私たち保育者に求められているのは、質の高い保育を実践するために、これまでの保育を今一度振り返り、見直し、保育者の資質・能力を高めていくことであると感じています。

 9月になりました。今学期も幼稚園で過ごす子どもが安心して自分らしさを発揮し、一人ひとりが集団の中で輝けるよう、温かく、応答的な関わりに心を尽くしてまいり
ます。
 秋の日々が守られますようにと祈っています。     〔 園長 木ア 曜子 〕 

 

 

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聖書のことば

「ザアカイは急いで降りて来て、喜んでイエスを迎えた。」

                       〔 ルカによる福音書19章6節 〕