思いやりの心を育む素地

 

 事前の天気予報を覆す好天に恵まれた今年の年長・奥多摩キャンプ。
 一泊二日は短いようですが、寝食を共にし、大喜びしたり、泣いたり、怒ったり、満足したりする子どもたちとじっくり向き合い、子どもたちの成長を感じる時でした。

 A君は、「キャンプって、全部が楽しい!」と言い、その中でも、宿舎である「福音の家」の庭にある大きなタイヤのブランコが気に入って、友だちと大きく揺らして、キャーキャー言いながら遊びました。

 「あー、早くお母さんとお父さんにタイヤのブランコのことを話したいなー」
 「タイヤブランコ、いっちばん楽しい!」
 「お母さんも絶対に『よかったね〜』って言ってくれるよ!」
 と、満面の笑みを浮かべて、何度も何度も言うのです。
 楽しい経験をお母さんとお父さんに伝えたいという思い。そして、その報告を聞いたお母さんは、『よかったね〜』と言ってくれるに違いないという確信。A君自身の心に根づいている“自分が愛されているという確信”からくるこの言葉を聞いて、私も幸せな気持ちでした。


 また、私たちが「山のレストラン」と呼んでいる食堂での夕食時、Bちゃんは、出された食事を 「おいしい〜! お母さんの作るごはんよりおいしい〜!!」と言って、にこにこ笑顔で、パクパク食べました。
 翌朝、朝食の時も昨日同様、
 「おいしい〜! お母さんの作るごはんよりおいしい〜!!」と。
 そして、にこにこ笑顔で、パクパク食べました。
 いよいよ、山のレストランでの最後の食事、昼食です。この時も同じことを言いました。
 「おいしい〜! お母さんの作るごはんよりおいしい〜!!」と。
 すると、Bちゃんと同じグループで、毎食Bちゃんの近くの席で食べていたCちゃんが、
 「Bちゃん、お母さんは毎日一生懸命ごはんを作ってくれるのだから、そんなこと言ったら悲しむよ」と、静かに言いました。
 Bちゃんが、
 「えっ、うちのお母さんは『おいしくてよかったね』って言ってくれるはずだよ!」と、答えてその話は終わりました。


 二人のやりとりを間近で見聞きしていた私は、出された食事を何でもおいしい、それも、“お母さんの作るごはんよりも!”と言って喜んで食べるBちゃんの子どもらしい素直な言葉と態度に可愛らしさを感じていました。また、一方、Bちゃんのお母さんの立場に立って、気持ちを汲んで、Bちゃんに静かに助言したCちゃんの思いやりの心に私は温かい気持ちになっていました。

 「思いやり深い子に育ってほしい」とは、多くの親の望みです。
 それぞれの家庭で、たっぷり愛情を注がれ、自分が愛されていることを信じ、安心して自己を表出しながら育つ子どもたち。この素地があってこそ、相手の立場に立って、気持ちを汲める思いやり深い人になれるのだとの思いをさらに強くしたキャンプでのひとこまでした。

〔 園長 木ア 曜子 〕   

 

相愛だよりカット7月号.jpg

聖書のことば

「主よ、・・・わたしたちにも祈りを教えてください。」

                   〔 ルカによる福音書11章1節 〕