子育てと子育ちの嬉しい関係

 

 相愛幼稚園では奇数月に身体測定をします。今年度初の測定日は、連休の谷間の5月2日でした。子どもたちはパンツ一丁になって、身長と体重を測ります。服を脱いで、パンツ一丁になるのは、無防備になるということで、かなり勇気のいることです。けれども、今年の新入生(3歳児も4歳児も)は、少しばかり緊張している子もいましたが、服を脱ぎ、無事に測定を終えました。一人ひとりの「健康の記録カード」には在園中の身長と体重が記されます。その日、新入生は一番初めの欄に身長と体重が記入されました。これから、卒園までにどれほど背が伸び、体重が増すのでしょう。
 子どもの体の成長は著しく、見た目に「大きくなった」とわかります。それに対して、心の成長は身長や体重のように数字としてあらわせませんが、私たちは子どもの言動を通して、その育ちを実感します。

 

 入園して間もない年少のAちゃんが、お母さんを恋しがって泣いていました。Aちゃんに寄り添う保育者の傍らで、年中のBちゃんは、「お母さんに会いたいのね。お母さんは、絶対来てくれるから大丈夫よ。」とやさしい声で慰めてくれました。Bちゃんも年少の頃、お母さんが恋しくて泣きました。朝、テラスでお母さんと離れ難い日が何度もありました。ですから、Aちゃんの気持ちが痛いほどわかるのでしょう。

 また、5月16日は年長組の園児が八幡町にある「井口さんの畑」にサツマイモの苗を植えに行きました。朝、吉祥寺駅に集まって、路線バスに乗って畑に行き、幼稚園のみんなが掘る分の350株を植えました。畑での作業を終えると、また、吉祥寺駅までバスに乗り、駅から歩いて幼稚園まで帰ってきました。それからすぐにお弁当の時間になったのですが、C君は、「畑に行って疲れたし、みんなの声がうるさいからばら組じゃなくて、ホールで一人でお弁当を食べたい。」と言いました。C君と担任が話をしているところに私も加わり、「一人で食べたいのね。今日は私も(事務の)松野さんが銀行に出かけているから、電話が鳴ったり、お客さんが来たときに出られるように、たんぽぽの部屋(事務所横の小さい部屋)で、一人でお弁当を食べるの。そこは、静かな部屋だけれど、どう?」とC君に問いました。「じゃあ、たんぽぽの部屋で食べる。」と言って、準備をして食べ始めました。
 はじめは黙って食べていたC君でしたが、終わりに近づいた頃、「僕は、疲れると幼稚園を休むけど、お父さんは疲れていても仕事を休まない」とおもむろに言いました。私が「そうね。お父さんは家族のために頑張っているのね。」と言うと、「僕も大人になったら、家族のために頑張るお父さんになりたい。」と言いました。
 そして、デザートを食べ終えると、C君は、「ばら組に帰る」と言ってまた、クラスに戻っていきました。

 

 「お母さんは絶対に来てくれる」というゆるぎない信頼。「お父さんのような大人になりたい」という憧れ。 子どもは、“信頼感”や“憧れ”を糧にして心を育てます。一方、親は子どものそのような様子を直接見たり、間接的に聞いたりすることで喜びや感動を与えられ、そして、また子育てに励むのです。
 「親から子へ」とか「子から親へ」という一方的なものではなく、親と子は相互に育ち合う存在なのですね。

 もちろん、子どもは親に対し、信頼や憧れではなく、反発をしてきます。幼児期のそれは、可愛いものですが、思春期はどれほどのものでしょう。想像するだけでも怖いとおっしゃる方がありますが・・・
 どんな反発をぶつけてくる時期が来ようとも、親と子が真剣に向き合い、関わり合い、手と心をかけて育ててきた乳児期があれば、恐れることはありません。


 このところ、何人かの方から同じ言葉を聞きました。
「この幼稚園に子どもを通わせている方は素敵な方が多いですね。」と。
子育てに価値と意味を感じている、お父様やお母様は本当に素敵です!
一学期も後半に入りました。毎日を丁寧に積み重ねていきたいと願っています。

〔 園長 木ア 曜子 〕

 

 

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聖書のことば

「これは主の御業 わたしたちの目には驚くべきこと。」

                          〔 詩編118編23節 〕