「よかったら、どうぞ!」

 「誕生会を始めたいと思います。」 
 「讃美歌をうたいたいと思います。」
 「絵本を読みたいと思います。」 「お茶を配りたいと思います。」

など、「〜と思います。」という言い切らない言い方を多用しないように意識しながら相愛幼稚園の保育者たちは言葉を使っています。
 

 根拠や当てもなく無責任に言い切るのはいただけませんが、決まっていることに対して曖昧で逃げ腰な表現を使うのはもっと無責任で、いただけないと感じているからです。 ですから、上の場合、「始めます。」「歌います。」「読みます。」「配ります。」と言います。

 

 それに対して、子どもたちと遊んでいて、おもしろいな〜と思うのは、
 「アクセサリー屋さんを開店します。よかったら来てください。」とか、
 「10時30分からダンスショーを始めます。よかったら観に来てください。」という
呼びかけの言葉です。
 この「よかったら…」という表現は、クリスマスの降誕劇の中で、ヨセフと身重の妻マリアが宿探しをするシーンからきているのでは?と考えています。

ヨセフとマリア 
 「宿屋さん、今晩一晩泊めてください。」

宿屋
 「満員です。ほかの宿屋を探してください。」

のやりとりを何度か繰り返して…

ヨセフとマリア 「宿屋さん、今晩一晩泊めてください。」

宿屋 「満員です。ほかの宿屋を探してください。」

ヨセフとマリア 「でも、どうしても泊まりたいのです。」

宿屋 「裏の馬小屋ならば空いています。  そこでよかったら、どうぞ。」

ヨセフとマリア 「おねがいします。」

 そうして、ヨセフとマリアは馬小屋に通され、その夜、救い主イエス様が誕生したのです。

 ここで、言っている「よかったら」を日頃の遊びの中でもいつからか誰かが使うようになり、先輩が使っている表現を真似て、後輩たちへと受け継がれているのでは?と私は考えています。


 相愛幼稚園の子どもはよく遊ぶ子どもです。その遊びは、保育者が手はずを整えて、与えられたことだけをするのではなく、一人ひとりに自由が保障され、自分で考え、判断し、選び取り、責任を持つ行為です。そして、自分に自由が保障されているように友だちの自由も尊重します。

 「よかったら、どうぞ!」という呼びかけは、まさに相手の自由を尊重したものであり、呼びかけられている子どもは、それに対して、自分で考え、判断し、選び取り、そして、選んだ結果に責任を持つということを意味しているのです。

 新しい年も遊びを通して一人ひとりが豊かにいきいきと持ち味を発揮しながら育ち合う場となりますようにと願っています。 本年もよろしくお願い申し上げます。

   〔 園長 木﨑 曜子 〕 

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光の子として歩みなさい。

           〔エフェソの信徒への手紙5章8節〕

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