井の頭公園

 井の頭公園は子どもたちがよく遊びに行きますし、皆、好きだと思います。わたしも子どもの頃、公園の近くに住んでいたので、よく遊びに行っていましたから大好きです。井の頭公園の池は湧水があって、大きな池があって、小さな池があって、神田川へと流れています。 

 知っているでしょうか、池の水が川に流れ出るところに水門があります。それで、そこから井の頭通りに通じている道を水門通りといいます。
 池から水門通りの坂を上ると井の頭線の踏切に出ます。その近くにわたしは子どもの頃住んでいました。

 今は公園の周りには家がたくさんできて、特に、湧水の周りにはマンションがいくつもでき、人が沢山住むようになりました。人が住むということは、水を使うことなので、湧水は少なくなりました。
 わたしが子どもの頃は井の頭公園は、いろいろなところから水が湧いていた池でした。雨が降ると池だけでなく、公園全体に湧水があり、水浸しになるほどでした。

 池のボート場があった辺りには鯉が、池全体には大きな鮒や小鮒が、また、小さなエビや大きなはさみを持ったアメリカザリガニが、川には「口ぼそ」という魚などが沢山いました。川が井の頭公園駅や三鷹台駅近くになると流れが強くなって川がきれいになるからなのでしょうか、いろいろな川魚がいました。

 動物園には動物の写生をしたり、粘土で動物を作ったりするために行くことがよくありました。子どもたちに一番人気があったのはやはり象でした。粘土で動物の像を作りに行ったとき、動物園の中を歩いて見て、自分の作る動物を決めなさいと言われて、よく歩いて見て回ったわけですが、どういうわけか、その時、わたしが作ろうと思ったのは、牛でした。
牛の特徴は、角や顔にあると思いますが、そのときわたしの心に感じた牛の特徴は、まるくふくれたお腹でした。それで、お腹のふくれた牛を作りました。今でも、牛と言われたときわたしに思い浮かぶのは、あの大きなお腹です。

 バス道路を挟んだ動物園の反対側は、今は、気持ちの良い林になっていますが、その時にはまだ、ちゃんとした林ではありませんでした。その林をちゃんとして、リスの放し飼いをしようという案がありました。わたしは林の中で遊びまわるリスのことを想像して楽しみにしていました。けれども、リスの放し飼いはなぜか中止になって、動物園の中で飼われることになり、立派なリスのための住まいができました。リスたちは今、喜んでその中を走り回っていますが、わたしは自然の林の中のリスたちを見られなかったのが少し残念です。

 皆さんは、長崎の原爆を記念して平和を願って作られた平和祈念像をご存じと思います。井の頭動物園の中に入ると左側に入った所に、幾つもの彫像があるところがあります。あの平和祈念像が、そこで作られたことを知らない人は多いのではないでしょうか。わたしは、子ども心に胸をどきどきさせながら、作られていく像を何だろうと思って見ていました。出来上がって、運び出されるのも見ましたが、長崎平和祈念像とされたことを知ったときは感動しました。作者の北村西望さんは長崎生まれですので、そういう作者の祈りも込められた平和祈念像なのだということを知りました。

 井の頭公園は、子どもだったわたしにさまざまな感動を与えてくれたところです。自然との豊かな出会い、動物とのふれあい、水とのふれあい、ときには、子どもなのに梅や睡蓮の花を楽しんだりもしました。 井の頭公園がくれた、たくさんのものを今も心の宝物のように思っています。

〔 理事長 長山 恒夫 〕

〜井の頭公園 どんぐり山で 木の実拾い〜            

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聖書のことば

わたしは主によって喜び

 わが救いの神のゆえに踊る。

                         〔 ハバクク書3章18節 〕

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