繰り返し楽しむ

 

 夏休み前、A君(年少・ひよこ組)のお母さんは絵本袋の中に入っている貸出図書を見て私にそっと申し出ていらっしゃいました。 
 「先生、この絵本を取り換えていただけないでしょうか…」と。
 私は「どうしてですか?」と伺いました。
 お母さんは「家に同じ本を持っているものですから…」とおっしゃいました。

 私は答えました。「担任教師がクラスの子どもたちの興味や関心に沿って、また、夏休みに親子で楽しんでほしいと願って選んだ絵本の中からA君が決めたものですから、出来れば取り換えずに持ち帰ってほしいのです」と。
 すると、お母さんは「あぁ、そうでしたか。Aが自分で選んだのですね。担任の先生が選んでくださったのだと思いましたので…」とおっしゃり、A君の選んだ絵本を持ち帰られました。

 

 子どもは“繰り返し”が好きです。


 たとえば、絵本に関していえば、それが物語絵本でも、図鑑のような科学絵本でも一冊の絵本を繰り返して見たり、読み聞かせてもらったりしてあじわうことで、子どもは自分の中にその本のイメージを膨らませ、感動を深めていくのです。

 大人は時として、いろいろな絵本を数多く与え、読み聞かせたいと思うものですが、絵本をたくさん知っていても、うわべだけの関わりあいしかもっていない子は絵本をあじわう楽しみを知りません。それよりも、一冊の絵本を通して、子どもがどれだけ心を動かす体験をしているかの方がずっと大切です。

 

 

 子どもが繰り返して楽しむことは大人からみると一見、無駄とか冗長に思われるかもしれません。けれども、子どもは遊びの中でやってみて感じて、やってみて感じて、何度も繰り返しながら試したり、考えたり、想像したり、創り出したりして多くのことを学んでいるのです。
また、繰り返すという行為そのものが子どもに安心感や安定感をもたらすことも多く、安心できる環境の中にいる子どもたちだから繰り返して遊べるともいえます。

 


 9月になって幼稚園の二学期が始まりました。幼稚園では、子どもたちが何度でも繰り返して遊べる環境を保障しています。子どもたちには、友だちとの遊びもつくることも絵を描くことも繰り返して遊ぶ体験をたくさん重ねて欲しいと願っています。
 この体験が細胞レベルに刻み込まれ、しなやかで忍耐力と集中力のある、生きる知恵と力に満ちた人を育てるからです。

 


 お家で、「もういっかい!」とせがまれたら、どうぞもういっかい絵本を読んでやってください。子どもは、“繰り返し”も好きですが、お父さん、お母さんの声で絵本を読んでもらうのは、もっと好きなのです。

 

 

〔 園長 木ア 曜子 〕


 


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聖書のことば

       『あなたに平和、あなたの家に平和、
         あなたのものすべてに平和がありますように。』     

〔 サムエル記上25章6節 〕