黒田先生とお母さん

  幼稚園では毎月、誕生会をしています。 自分の誕生会が来るのを楽しみに待っていて、着ていく服や髪型を早くから決めている子や誕生会の中で聞かれるインタビューのリハーサルを家で入念に行って会に臨む子もいれば、その一方、みんなにお祝いされるのが気恥ずかしくて誕生会に苦手意識をもっている子もいます。
 


 また、おもしろいもので園児の誕生月は毎年ばらつきが多様で、4月生まれが大勢いる年もあれば、早生まれに集中している年があったりします。

 


 今年度の9月生まれは年少組のYちゃん1名と保育者1名でした。(ちなみにYちゃんは、誕生会の朝、ちょっとドキドキしていました。)
 それが翌月の10月になりますと、年長・ばら組4名、年中・すみれ組6名、年少・ひよこ組5名、そして、保育者2名の17名が誕生会で祝福を受ける10月生まれの人たちです。

 


 10月生まれといえば、2007年に召された相愛幼稚園の前理事長・黒田成子先生も10月生まれです。11日のお誕生日がくればなんと100歳!
 今年は黒田成子先生生誕100年の記念すべき年に当たります。

 

 


 今、在園の方で黒田成子先生をご存じの方はもうほとんどいらっしゃらないか
思います。

 

 

 今年の相愛だより7月号でも少しふれましたが、黒田成子先生は武蔵野相愛幼稚園初代園長(白石多幸牧師)、二代園長(白石トク夫人)の娘で、三代目の園長であり、長山恒夫先生の前の理事長です。また、同時に東洋英和女学院短期大学保育科の専任教授でもありました。さらに、幼少期のアメリカでの生活、大人になってからの留学経験により、英語が堪能で国際会議の同時通訳を務めたり、キリスト教保育連盟の理事長も務めるなど戦後の保育界、特にキリスト教保育の分野を牽引してきたといっても過言ではない先生でした。

 

 先生とは保育の話だけでなくいろいろな話をしましたが、黒田先生はお母様(白石トク先生)の話をよくなさいました。
 「父は優しかったけれど、母はまじめで厳格な人だったの。小さい頃は母の目を逃れていたずらもたくさんしたわ。見つかってひどくお仕置きされたこともあるわね。だから、結婚して母のもとを離れたときは、解放された感じがしたのと婚家の雰囲気がとても居心地のよいものだったから嬉しかったわ。
 私が50歳位の頃、東洋英和での勤務が多忙を極め、CS(教会学校)の教師としての奉仕を辞めたいと母に言ったとき、『どんなに忙しくても教会学校の教師を辞めるなんて駄目です!』と言われて私は母の言葉に従っちゃったの。自立してないでしょ」という話もそのひとつです。

 

 子どもは親に「依存と反抗」を繰り返しながら自立に向かって発達し、成熟していく存在ですが、華麗な経歴をもつ黒田先生もお母様の前にあっては、50歳にしても一人の娘であることを感じさせられる母子のエピソードです。 10月11日の先生の誕生日を前におしゃれでユーモアあふれる黒田先生を懐かしく思い出しています。

〔 園長  木﨑 曜子 〕

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   ヨハネの手紙Ⅰ 4章7節

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