「グループ名が決まるまで」

 

 6月6日・7日の奥多摩キャンプを数日後に控え、年長・ばら組の子どもたちはグループ分けのくじ引きをしました。袋の中に4色の紙 (オレンジ・赤・緑・黄) が入っていて、引き当てた色が自分のグループです。そうして、4つのグループ (1グループ9〜10名) が出来ました。その後はグループの名前決めでした。担任は「仲間と話し合って、グループの色に関係のある野菜か果物の名前にしましょう」と告げました。

 

 早速、話し合いが始まり、黄色は 「とうもろしグループ」、
緑は 「洋梨グループ」 、オレンジは 「中がオレンジのメロングループ」 に決まりました。
 さて、難航したのは 「赤グループ」 でした。苺やトマト、それにキムチなどの候補が挙がる中、S君は 「トマトは絶対に嫌だ! 梅干しがいい!」 と言いました。すると、Yちゃんが 「私は梅干しは嫌! すっぱいから!」 と反論しました。 「じゃあ、どうする?」 「多数決っていうのはどう?」 「そうだね」 と多数決で決めることになりそうになった時、「その決め方は嫌だ。僕はトマトは大嫌いなんだ。幼稚園でもらったトマトの凛々子 (りりこ) だけは我慢して食べるけど…」 とS君がはっきりとした口調で言いました。

        「凛々子 (りりこ)」 とは・・・

         カゴメ株式会社が未来を担う子どもたちの「命への関心」 と 「感謝する心」 を育むきっかけとなることを願って、1999年より毎春、全国の小学校や幼稚園にトマトの 「凛々子 (りりこ) 」 の苗を無償で提供している、カゴメの食育支援活動。相愛幼稚園も毎年トマトの苗をいただいて、育てています。 

 

 日頃は積極的に意見を言うタイプではないS君とYちゃんの二人がこの日は自分の言い分を主張して譲りませんでした。
 かなりの時間をかけてさまざまなやりとりをしました。なかには、「ねぇ、僕もトマトが嫌いなんだけど、お母さんがお味噌汁の中に入れてくれたら食べられたんだ」とトマトの克服法を教えてくれる子もいたりして…。一方、しびれを切らして 「梅干しでもトマトでもどっちでもいいじゃない。早く決めちゃおうよ」 と言う子も出てきました。
 話し合いが煮詰まってきて、無言の時間が過ぎていきました。そろそろ、私の出番かな?と頃合いを見計らっていた時、一人の女の子が言いました。 「Yちゃん、ハチミツ味の梅干しなら酸っぱくないよ。」 
すると、「私、かつお味の梅干しも知ってる!」と言う子も…。

 「そうだ!『自分の好きな味の梅干しグループ』 っていうのはどう?」と言う子がいて、何人かが 「それ、いいね」 と賛同しました。すると、Yちゃんも 「うん、いいね」 と言いました。S君も安堵の表情で 「うん」 と頷きました。
 これで、決定!
 「自分の好きな味の梅干しグループ」

 

 グループ名が決まるまでの過程で、一人ひとりの子どもたちが自己表出、自己表現、
自己発揮を繰り返しながら他者の思いに気づき、関心を広げ、さまざまな思考を巡らし、おりあいをつけようと努力しました。
 自己から他者への世界へ視野を広げる幼児期に、このような “協同する経験” を重ね
ながら、「人とかかわる力」 をつけ、 「人と生きる楽しさ」 を感じてほしいと願っています。

 

                                                                                〔 園長 佐川曜子 〕

 

 

CIMG2770-2.jpg               2013年6月7日  

              キャンプ場での朝の礼拝