「イエスは、乳飲み子たちを呼び寄せて言われた」

  子育てに関連して、待機児童のことが話題になっています。保育所に預けたくとも、待機児童の数に保育所の定員が追い付いていない現状が問題とされています。
 このことについて、働きたい女性にしわ寄せが行っていることが問題として報道されていますが、子どもにとっての問題は、全くと言っていいほど論じられていません。
 子育てについて考えるときに、まず考えるべきことは子どものことで、子どもを中心にして、両親・兄弟・祖父母・ご近所・友人などの関係を考えることが大切なことは言うまでもありません。
 最近、乳幼児の世話をしているお父さんをよく見かけます。子育てに関する常識として定着しつつあるようで、喜ばしいことです。


  待機児童という言葉が使われていますが、 「児童」 という言葉を辞書で見てみますと 「子供。学校教育法では満6〜12歳までを学齢児童、児童福祉法では満18歳未満を児童という」 とあります。6歳未満は、学齢に達していない者という理解ですが、待機児童で問題になっているのは、この6歳未満の子どもです。
 育つ、育てるということは、人にとっての基本の問題で、0〜5歳までの子どもは乳児・幼児と呼ばれ、この時期にどのように育つかは、その人にとって大きな意味があります。

  「乳児」 は、辞書を見ますと 「生後一年くらいまでの母乳または粉乳などで養育される時期の子供。児童福祉法では、1歳未満児をいう」とあります。人間の0歳児の状況は、動物で言えば、まだお腹の中にある時期です。 「幼児期」 を見ますと、 「生後1年ないし1年半から満6歳頃までの時期。満3歳の終わりまでを幼児前期、以後を幼児後期ともいう。自己中心性 ・ 情緒性 ・ 具体性などによって特徴づけられる」 とあります。人間としての基本が育つために、いかに重要な時期であるかがよく分かります。子どもたちが、実際に、これらの特性を十分に発揮して幼児期の成長をして欲しいと思います。 幼児前期は、特に、両親のぬくもりの中にあって、肉体的ふれあいの中で、安心して成長します。幼児後期には、少しずつ手を離れることを経験しながら、友だちとの関係をつくって行きます。そうした中で、自己中心性 ・ 情緒性 ・ 具体性の成長を見ることができます。


  今、待機児童と言われている子どもたちは、この乳児 ・ 幼児期の子どもたちですから、乳児 ・ 幼児の子育てについて、ほとんど論じられることなしに待機児童のことが話題になっていることは、将来、社会問題として顕在化する萌芽を含んでいると言ってよいでしょう。

    「子供たちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。
                                   神の国はこのような者たちのものである。」
                                                     
(ルカによる福音書18章16節)

   自分たち大人を中心に考え、子どもたちをイエスの教えを理解できない者として退けようとした弟子たちを叱って、イエスが言われた言葉です。
イエスの教えは、知的理解以前を基本としているので、心で聞くことが大切です。


 子どもだけでなく大人も、人間関係が薄れている時代です。一人っ子で兄弟関係がない子、遊び場がなく、大人が設定した場所で大人の指導の中で遊ぶ子、塾やサークルなど大人が設定したプログラムをこなす子どもたち、そこでは、子どもたち自身による人間関係が育ち難いと想像されます。子どもであるという経験が薄れている時代と言えるかも知れません。
 こんな時代ですから、乳児 ・ 幼児が何を経験し、何を喜び、何を悲しんでいるか、よく見て、大人も子どもと一緒の歩みをしたいと思います。

          〔 理事長 長山 恒夫 〕

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